窮地ニッポン。救え、励ませ!
各国に広がる支援の動き。

 東日本大震災の未曾有の大惨事は、世界を駆け巡った。犠牲者の多さや原発への被害の深刻さが刻一刻と伝わるに連れ、国際社会からの支援が拡大した。

 かつて、自国の災害で日本から支援を受けた国や地域をはじめ、日本から経済援助を受けて開発を進めたアジアの国々も物資提供や救助隊派遣を申し出た。

 アフガニスタンのカルザイ大統領が「困難な時期に、日本国民が、われわれのそばにいたことを決して忘れない」と表明したように、同様の心情で日本が援助の手を差し伸べてきた発展途上国からのエールも目立つ。

 3月11日の被災直後から2週間で132カ国・地域と34国際機関から支援表明があった。1995年の阪神大震災の際は、被災1カ月後の時点で支援表明した国・地域、国際機関は計71だった。これと比べれば今回の惨事が、如何に世界を驚愕させたのかが分かる。

 最も注目されるのは、紛争や内戦、大地震の被災などで国情が安定しているとは言い難い国々からの支援の意思伝達だ。アジアでは東ティモールやアフガニスタン、中南米ではハイチ、アフリカからはスーダン、ルワンダなども支援の声をあげた。
 「義援金寄付は出来ないが人的貢献ならできる」「必要なことがあるなら何でも連絡してほしい」など、暖かい声が寄せられ続けた。
 日本にいるスリランカ人グループは、スマトラ沖地震で世話になったので、その恩返しにと、気仙沼に出向き、被災者たちに大盛りの真心を込めてスリランカカレーを振る舞った。

 一方、義援金寄付も各国熱心で、台湾では4月1日までに官民合わせて計100億円を突破し、米国が赤十字を通じて集めた寄付とほぼ並んだ。米国の人口の約14分の1の台湾から寄せられる義援金は桁外れだ。大震災発生直後から被災者支援の輪が一気に広がった台湾の親日ぶりを改めて知ることとなった。
 「竹島(韓国名・独島)の領有権」を記載した日本の中学校教科書に反発を強める韓国では、一部に募金活動の中止を表明する地域もあるものの、概ね検定結果発表後も「教科書問題と被災者支援は別」とする意識が高く、義援金が続々と寄せられている。

 また、原発危機に対しては、原発先進国の米国やフランスなどは、自国の事のような危機感で、無人ロボットの提供を申し出るなど、解決策を一丸となって模索しようとする動きも出てきた。

 ハートフルな動きも活発だ。「まけるな日本」「あきらめるな東北」「いつも一緒に」。老若男女、様々な寄せ書きから祈りに至るまで、善意の「気」が、窮地ニッポンに向けて発信され続けている。

 中国では、宮城県女川町の水産加工会社専務・佐藤充さんが、中国人研修生20人の命を救い、その後、行方不明になったというニュースが広がった。
 佐藤さんは、地震発生後、真っ先に研修生を高台に避難させ、自らは津波にのみ込まれた。無事に中国・大連に帰った研修生らは、女川町での暮らしぶりを示す写真や千羽鶴の展示を始めた。そして、被災者への祈りを捧げ続けている。

【記:2011.4.1】


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クウェートのアハマド石油相は、同国で開催されたアジア・エネルギー相会合の冒頭、東日本大震災の犠牲者に哀悼の意を示すとともに「日本との連帯を示すため、500万バレル(420億円相当)の原油(日本の原油消費量は日量約440万バレル)もしくは加工品を無償提供することを閣議で決定した」と述べた。

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