腐敗したニュースゴミ&さえないニュースゴミ
●其の三/警察および特別監察の仕事、それは「事件対応より宴会」●


一連の警察不祥事に対する監視策として実施されている特別監察の実態は、どんなに緊急の事件があろうとも仕事をせずに宴会をし、深夜までマージャンに興じることをすすめるご立派な警察庁幹部と監察対象者の県警本部との慰安旅行だった。
 新潟県の女性監禁事件で虚偽発表を了承していた小林幸二・新潟県警本部長が、女性が保護された当日に、特別監察を受けた後の懇親として中田好昭・関東管区警察局長と温泉旅館で酒を呑みつつ深夜までマージャンをしながら、事件の指揮をとっていたことが発覚。また、特別監察に出向いた中田好昭警察局長も、監察そっちのけの物見遊山気分だったことが判明し、そのご立派さに国民が大きく深いため息をついている。

 特別監察は、神奈川県警をはじめとする一連の警察不祥事を受けて警察庁が打ち出した綱紀粛正対策。神奈川県警の現職警察官の覚せい剤使用もみ消し事件で、県警監察官室が「もみ消し」の中心的役割を果たすなど、警察内部の不祥事に目を光らせるはずの監察体制そのものが崩壊していることが明らかになったため、警察庁は、同庁や管区警察局の幹部が直接都道府県警に出向き、不祥事対策が浸透しているかをチェックする「特別監察制度」をつくり、1999年12月の神奈川県警を皮切りに、これまで38道府県警の監察を終えた。

 その仕事の後に、監察に訪れた警察庁幹部が監察対象者である県警本部の幹部と宿に泊まって飲酒するのは、警察庁が監察にあたって監察を受ける側との飲食の厳禁などを管区警察局に指導していたといえども、百歩譲ってギリギリの許容範囲。だが、関東管区警察局長は、県警本部での監察業務をせずに訓示も別の幹部に代行させるという「職務放棄」を行なっていたばかりか、事件発生の報告を受けても署に戻らずにマージャンに興じ、宴席から事件の指揮をするという前代未聞のルール違反を犯している県警幹部を目の前にしながら、指導もできないばかりかそれらの行為を見逃して自らも宴に興じていたという、これまた前代未聞の特別監察の失態劇は百歩譲っても許容範囲を超えて、警察の信用は遂に、トコトン地に堕ちてしまった。

 新潟県警への特別監察が午後2時すぎまで県警本部で行なわれた1月28日は、行方不明の女性が9年2カ月ぶりに保護されるという日だった。小林幸二本部長らは土砂崩れ現場や駐在所を視察した後、午後4時50分ごろ、刑事部長から女性保護などの報告を受けた。しかし、県警本部に戻ることはなく、そのまま温泉に投宿し、旅館では午前零時ごろまで宴会やマージャンを続けた。
 宴会には県警の警務部長や総務課長、秘書室長らが参加。マージャンは、新潟県警本部長と関東管区警察局長、女性保護時の連絡態勢や容疑者の母親が4年前に柏崎署に相談した際の対応などで責任が問われている生活安全部長、生活安全企画課長で行なった。

 他の管区警察局の担当者らは日帰りで監察に訪れていたが、同宿した中田好昭警察局長は、あらかじめ「雪が見えるところに泊まりたい」と宿泊を希望していたため、県警が手配した温泉旅館に泊まった。この際、事件を耳にした中田好昭警察局長は小林幸二県警本部長に「県警に帰ったらどうか」と力弱く打診しただけだった、という。
 途中、午後9時ごろファクスなどで県警から記者会見発表文、想定問答の送信を受け、新潟県警本部長は虚偽報告の報道発表を了承。翌日、本部長は警察局長をハクチョウの飛来地として知られる「瓢(ひょう)湖」に案内し、JR新潟駅まで送った後、県警本部に寄らずに直接、家(公舎)に戻っていた。このため記者会見は刑事部長らによって午後9時半ごろ新潟県警で行なわれた。

 警察庁は、虚偽発表などの不手際を受けて2月20日に調査チームを県警に派遣、24日に調査結果を発表したが、こうした事実を全く把握していなかった。
 「事件対応より宴会」「特別監察よりも温泉」。これが特別監察の実態だった。

 保利耕輔国家公安委員長はこの大失態に関して「全国本部長に注意しているその最中にこういうことが起きたことは許し難い気持ち」「一連の対応で被害者やご家族、心配してくださった国民のみなさまに申し訳ない気持ち」「あれほど言ったのにという思い、断腸の思い、ほんとうに腹立たしい思い、許し難いという気持ち」とトホホ状態の実感を述べたが、マヌケな職務放棄集団と化しつつある警察の再生は現状では無理なのかも知れない。

ボロボロ、警察不祥事のオマケ
元国家公安委員長で現職国会議員の秘書が絡んだ新潟県警の交通違反モミ消し事件で、前同県警警視の交通機動隊長が、前運転管理課行政処分係長に対し、この逮捕容疑以外にも交通違反のモミ消しを指示していたことが分かった。

 県警捜査2課は、正規の手続きを経ずにコンピューターに保存されている交通違反の記録が抹消されていたケースが複数あったことを把握しており、前交通機動隊長は「警察関係者からの依頼もあった」と、周辺に漏らしていたということから、関連性を詳しく調べている。
 また、元国家公安委員長で白川勝彦衆院議員(自民、北陸信越比例ブロック、当選6回)の私設秘書から、モミ消しを依頼されていたことを認める供述をしていることも分かった。

 ちなみに、昨年9月の神奈川県警の覚せい剤使用モミ消し事件以後、京都府警の巡査長が行なった押収品覚せい剤盗み出し事件、佐賀県警の信号機メーカー贈収賄事件、新潟の女性監禁事件に端を発した新潟県警および特別監察での一連の不祥事など、全国の警察で次々と明るみに出た不祥事は約半年間で170件近くになる。

 議員や議員関係者の口利きによる交通違反のモミ消しがあることは、過去から半ば公然と語られてきた。しかし、今回のように国家公安委員長経験者の秘書が絡む事件として、あからさまになった例はこれまでにない。

また、静岡県警では、沼津署生活安全課巡査長が薬物事犯などの捜査に従事していた際に、覚せい剤取締法違反の罪で捜査対象になっている犯人と知り合い、捜査情報を漏らすほか、覚せい剤を自らも所持。巡査長が、覚せい剤取締法違反(所持)、犯人隠避、地方公務員法違反の疑いで逮捕された。
 県警は、沼津署内で覚せい剤所持を複数の同僚課員が目撃していたにもかかわらず、課長以上の幹部に報告していなかったことを明らかにした。

●そして、佐賀県警では、 知人の女性にわいせつ行為をしていたとして懲戒免職となった佐賀県警警備部機動隊の元巡査部長が、この女性とはわいせつ犯罪事件を担当したときに被害者として知り合い、その後もしつこく交際などを迫り、さらにわいせつな行為を行なっていたことも分かった。
 佐賀県警によると、元巡査部長は諸富署刑事課に勤務していた1998年3月から1年間、わいせつ事件などの捜査を担当。この間、管内で発生したわいせつ事件の被害者として元巡査部長がこの女性から事情を聴いたのが、知り合ったきっかけだったという。
 その後、元巡査部長は昨年12月中旬、女性を佐賀市内に呼び出して一緒に酒を飲んだ後、路上で無理やりキスをしたり抱きついたりしたとして、17日付で懲戒免職となった。女性は今年2月になって同県警の被害者相談窓口に匿名で訴えていた。この問題では、当時の諸富署次長ら上司3人も監督責任を問われ、本部長訓戒などの懲戒処分を受けた。

さらに、千葉県警では、 船橋東署に拘置中だった女性に、留置場内でわいせつ行為をしていたとして諭旨免職処分となった元巡査長(44歳)が、99年9月、同署の副署長同席で被害者の女性と会い、この席で女性に現金30万円を渡したうえ、領収書に「一切の解決金として」という但し書きまでさせていたことが分かった。
 千葉県警監察官室は現金の授受を認めた上「元巡査長が示談金として渡したと理解している。口止めをする意図は全くなかった」と釈明している。

 当時看守係だった元巡査長は、シーツを差し入れるため留置場に入り、覚せい剤事件で拘置中だった女性の身体をしつこく触るなどした。発覚後、元巡査長は諭旨免職となったが、巡査長のわいせつ行為に関し、同署の当時の刑事課長が女性に「訴える意思がない」ことを明示するよう求めて文書を提出させ、「女性から被害申告がなかった」として、わいせつ行為を事件化しなかった。

 また、この女性が覚せい剤事件で逮捕された直前には、ホテルの部屋に、この女性と交際していた同署の巡査部長が一緒におり、女性から覚せい剤使用を告げられていたが、動揺して逃げてしまったということも判明している。

●そして埼玉県警では、恐喝容疑で逮捕された留置人に越谷署の署員が留置場で脅されて、房のカギを取られたうえ、房から出た留置人たちが署員と乱闘。署員がボロボロに殴られる蹴られるなどの不名誉な傷を負うと共に、規則に違反して、脅された留置人に喫煙や飲食を許していたことも発覚した。

 埼玉県警監察官室は「あってはならないことで 県民におわびし、再発防止に全力を尽くします」と陳謝。県警は3月30日、留置管理に重大なミスがあったとして当時の署長ら17人を減給などの処分とし、署員に暴行した2人を公務執行妨害などの容疑で浦和地検に書類送検した。しかし、暴行した2人のうちの1人は、覚せい剤取締法違反容疑で逮捕されていたが、12月に処分保留で釈放され、所在不明で立件できないという情けなさ。

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●99年の未処分腐敗ゴミ●

其の一/政治家や官僚の根腐れ、やはりあとを絶たず

其の二/ビジネスチャンスの食いもの、今年も腹いっぱい?

其の三/だらしない企業、健在なり

其の四/政府の権限、それは「カネは使いたい放題さ」

其の五/根腐れ警察のボロボロ事件簿、神奈川県警テンコ盛りで独占


●98年の未処分腐敗ゴミ●

其の一/根腐れ官僚編

其の二/怠慢行政編

其の三/ビジネスチャンス編

其の四/歪んだ施策編


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