◆列島縦断ニュースハイライト◆
【中国・四国・九州発】


■長崎県外海町の池島炭鉱を運営する松島炭鉱および三井松島産業が、池島炭鉱の閉山を決めた。

 国内に残る二つの炭鉱の一つで、九州ではただ一つになっていた長崎県外海町の池島炭鉱は、年内にもその幕を閉じる。それに伴って400人以上が雇用の場を失うため、長崎県では、経済産業省などに閉山後の支援策を要望するほか、閉山後の雇用対策に当たる、としている。

 2000年2月に起った坑内火災の影響で採掘環境が悪化し、規模縮小での操業を検討していたが、海外からの安い輸入炭との価格競争に押され気味で、なおかつ本年度で国の支援制度も切れることから、採算の見通しが立たず、閉山の結論に至った。

 三井松島産業では、従業員約600人をいったん全員解雇した後、松島炭鉱の技術職として受け皿となる三井系の関係会社で一部約100人程度を再雇用し、国がすすめる採炭技術などを海外研修生に学ばせる研修事業にあてる、としている。

 池島炭鉱の閉山により、国内に残る炭鉱は北海道釧路市の太平洋炭砿だけになる。

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■長崎県小長井町漁協の前組合長は、諫早湾の国営干拓事業着工に伴い、漁業補償を受けて結んだ事業に同意する契約は、漁業被害の予測が過小評価されていたとして、国と県を相手に、契約無効の確認を求める訴訟を起こすことを決めた。

 同漁協など諫早湾内12漁協と組合員は1987年3月に、損失補償243億5000万円を受け取る代わりに、漁業権などの放棄(一部放棄と制限を含む)と、干拓に同意する契約を、国の委託を受けた長崎県と結んだ。その際の補償交渉で、長崎県は小長井町漁協に対し、九州農政局が示した環境影響評価書(アセスメント)の結果などから「水揚げ高の減少は20%程度で、漁業経営の継続は可能」などと説明していた。
 しかし、89年の着工以来、同漁協の漁業資源は壊滅的な打撃を受け、漁獲高は激減。タイラギ漁は潮受け堤防建設工事が本格化した91年を境に水揚げがゼロとなり、休漁を余儀なくされた。

 今後、「干拓が漁業被害をもたらしたのは明白」として、ノリ不作問題を抱える有明海沿岸四県の漁業者にも訴訟参加を呼びかける。

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■県の高度化資金融資をめぐり、やみ融資の事実が発覚した高知県で、県警の特別捜査本部は5月10日、山本卓・元副知事らを逮捕した。
 南国市にある縫製業の協業組合「モード・アバンセ」に対する12億円の巨額融資で県警は、10億350万円について、背任罪で立件する模様。

 背任の疑いが持たれているのは、山本元副知事と元商工労働部長や商工政策課長(高知商銀に対する背任罪などで服役中)ら3人と元商工労働部幹部らを含む計5人、およびモード社代表理事の安原繁被告(詐欺罪で起訴済み)らモード社関係者。

 高知県は高度化資金として1995年と96年にモード社に合計14億4000万円を貸し付けたが、それでも足らなかったことから、県は県議会にも説明せずに「地域産業高度化支援資金」制度をひそかに創設し、96年に4回に分けて10億350万円を直接貸しした。しかし、これでもなお経営が行き詰まり、さらに県は追い貸しを実行。
 操業を続けたモード社の経営の悪化は激しくなるばかりで、融資は事実上焦げ付き、合計26億4000万円の返済のめどがまったく立たないまま破綻状態に突入した。

 県警は、融資の一部について、県がだまされたとして、同社の代表理事らを詐欺容疑で逮捕し、制度融資全般についての詳細を調べていた。
 県は一貫して融資全般について「政策判断」を主張しているが、12億円のやみ融資のうち、少なくとも10億350万円については「背任性が高い」との判断に達し、強制捜査および逮捕に至った。

 今回、逮捕された副知事は 「ミスター高知県庁」と称されるほどの実力者で、橋本大二郎知事が就任した翌年の1992年から98年までの5年間、副知事を務めていた。橋本知事も「副知事がいるから、外向けにいい格好ができる」などと絶賛するなど、この副知事の行政手腕を評して高知県庁では、「橋本会長・山本社長」とまで言われていた。
 しかし、「ある特定団体への配慮も含む対策事業的性格が強い」と一部で指摘される今回の融資で、「ミスター県庁」の敏腕な行政行為は、一転、やみ融資による背任罪として刑事責任が追及されるという全国でも異例の事態に発展した。

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■中国電力が山口県上関町に計画している上関原発について、国から意見を求められていた山口県の二井関成知事は4月23日、基本的に国の電源開発基本計画組み入れを容認することを決めた。
 長年、暗礁に乗り上げ、推進の勢いを失っていた同原発建設計画は、5月にも開かれる予定の総合資源エネルギー調査会電源開発分科会に上程される運びだが、知事は、今後の国などの対応によっては県の事務や協力を留保することもあると、条件付きの同意を強調している。

 知事が求める条件は、契約成立の見通しが立っていない用地に関する円満な解決、県民の不安感の払しょくのための安全対策や防災対策、地震対策、環境保全など10項目以上の課題を列挙している。

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これまでの動向など、関連記事は「特 報環境アセス法と原発と「スナメリの住む海」問い直される瀬戸内・周防灘、上関原発建設計画。




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■福岡県有明海漁連(26の漁協組合)は3月6日、組合長会議を開き、諫早湾干拓工事阻止行動の座り込み中止を決めた。

 有明海の海苔不作問題で、福岡県有明海漁連の組合長と組合員ら2月24日に、諫早湾干拓事業の中止を求め、干拓事業現場のゲート前などで座り込みや張り番を始めたのを皮切りに、3月1日には、農水省を訪れ、抗議と水門開放および工事の中止を求めていた。

 これは2月23日、福岡県有明海漁連の漁民らが「不作と漁業不振の原因は諫早湾干拓事業にある」として、熊本市の農水省九州農政局で事業中止を求めて約1500人が参加して抗議行動を行なった際に、九州農政局との話し合いが決裂したのに起因する。

 農水省九州農政局での局長との交渉は5時間半に及び、事業中止や排水門の常時開放などを要求。任田局長は「不作の原因は調査中で、本省の判断を待ちたい」「水門を開けると湾内の濁った水が海に入り込み好ましくない」などと発言。納得できない漁民らが、谷津農相との直接交渉を求めて詰め寄ったため局長が谷津農相に電話をかけて指示を仰いだが、農相は電話を通じて「漁民の気持ちは分かる」として「3月1日に会う用意がある」「3月に予定される第三者委員会でもよく意見を聞く」と大上段に応じ、かつ「事業中断は困難」と回答。このため、興奮した漁民が机をけり上げたり、「おまえが有明海の水を飲んでみろ」などの怒号が飛び交い、騒然とした雰囲気につつまれて交渉は決裂した。そして、有明海漁連の漁民らは、「農水省が何らかの回答をしてくるまで、24時間体制で工事を阻止する」として座り込みを実施していた。

 この後、漁業者の怒りを抑えると共に7月の参院選をにらんだ政治的判断により、農相は、「第三者委員会で潮受け堤防の水門の一時開放を受け入れる」と説明。

 3月3日に初会合を開いた第三者委員会(調査検討委員会)は、「水門を開放すべきだとは思うが、その方法や時期は慎重に検討を」として、水門開放の結論を2回目以降に先送りし、会合を終えたが、先の農相の説明や「干拓工事の一時中断を前提に、阻止行動をやめてほしい」との自民党幹事長の要請もあったため、今回の工事阻止行動の座り込み中止に至った。

 しかし、干拓事業を一時中止して水門を開放すれば、場合によれば「事実上、永久的な干拓中止と同じ状況になる可能性もある」として、今度は、工事の継続を求めている長崎県が、水門を開放しての調査や、調査の際の干拓工事の一時中止に関して「拒否」する姿勢を鮮明に打ち出すなど、新たな混迷が始まっている。

 そんな状況のなか、農水省は3月13日、諫早湾干拓工事を一時中断して調整池内の水質などの緊急調査実施を決めた。緊急調査は約2週間の予定で、水門は閉じたまま、堤防内にある調整池の水質データを集める。
 この後、排水門を開けての調査が必要かどうかを判断し、4月以降の本格調査の手法について決める。

 本格調査の方法について調査検討委員会は「条件付きの水門開放は可能」として最終的には水門を開放して調査をするよう提言する見通しだが、長崎県や諌早市および農協などは水門開放についは依然として反対の姿勢を崩していない。

 なお、干拓事業そのものの中止については、農水省は「あり得ない」との構えを続けている。

※バックナンバー関連記事「有明海の海苔不作が深刻化、諌早湾干拓の影響を指摘する声が高まる」「揺れる諌早湾干拓」

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【中国・四国・九州発】


■リゾート法(総合保養地域整備法)の第1号指定を受けて鳴りものいりで誕生して以来、巨額の累積赤字を抱えて経営の行き詰まりが深刻化していた宮崎市の大型リゾート施設「シーガイア」の再建問題は、運営会社の第3セクター「フェニックスリゾート」が2月19日、グループ会社のフェニックス国際観光、北郷フェニックスリゾートとともに、宮崎地裁に会社更生法の適用を申請、倒産することで決着が図られた。
 94年秋の全面開業からわずか6年で破綻、負債総額は約3000億円で第3セクターの倒産としては過去最大の規模になった。

 シーガイアは、2000年7月の九州・沖縄サミット外相会合のメーン会場にもなったが、基本的に利用者が少ないという状況に変化はなく、経営は加速度的に行き詰まりをみせた。
 金融機関の債権放棄も実現せず、メーンバンクの第一勧業銀行を軸とする金融機関は、昨年には金融支援も打ち切っていた。このため、昨年1月から宮崎県は「リゾート基金」を創設して公的資金25億円を投入。運転資金をまかなったが、焼け石に水だった。

 現在、外資系企業を軸に売却交渉を進めているが、宮崎県や運営会社などは交渉にあたって「ホテルや会議場などの施設の切り売りはしない」としたため、再建の道筋もつけにくく、巨額の負債を抱えたままでは引き取り相手も見つからないことから、「身売りするにも会社更生法下での債権処理が不可欠」と判断した模様。
 この破綻で、知事責任を追及する声が高まるのは避けられそうにない。第3セクターのフェニックスリゾート社には県と宮崎市が各25%ずつ出資している。

 北海道のトマムリゾートなど、リゾート開発型第3セクターの経営悪化は全国各地で表面化し、破綻が相次いでいる。

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