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雪印、今度は詐欺、狂牛病発生に伴う国の補償制度「国産牛肉買い上げ」に目をつけ、輸入牛肉を国産に偽装して補助金を。

 ズサンな製造ラインで食中毒事件を起し、信用失墜した雪印が、今度は、狂牛病発生に伴う国の補償制度「国産牛肉買い上げ」に目をつけ、輸入牛肉を国産に偽装して補助金を不当に得るという「詐欺」を行なっていたことが発覚した。

 雪印乳業の子会社「雪印食品」の関西ミートセンターが、2001年10月、オーストラリアからの輸入牛肉約12トンを国産牛の箱に詰め替え、狂牛病発生に伴う国の補償制度「国産牛肉買い上げ」を悪用し、輸入牛肉を国産に偽装して、約1000万円近くの補助金を不正に得ていた、というもので、雪印食品は事実関係を認め、「このたびは大変なご迷惑をおかけしました」と謝罪した。

 これで完全にスノーブランドは、インチキメーカーとしての地位を揺るぎないものにした模様で、「雪印は詐欺印」と言われてもいた仕方ない情況に追い込まれた。(02・1/23)

 狂牛病問題では、2001年10月18日に全頭検査が始まり、それ以前に解体処理された国産牛肉については、農水省が「消費者の不安を抑えるため」として「牛肉在庫緊急保管対策事業」を打ち出した。
 これは、国の補助金=国民の税金=で、「国産牛肉」を買い上げ、冷凍保管した後、焼却処分する、というもので、処分対象は、全国で約1万2600トン、費用は約200億円が見込まれている。

 今回、雪印は、それに目をつけて、売れ残ってダブついている在庫輸入牛肉を「国産」に偽装、買い上げ補助制度を利用して、ちゃっかり補助金を手にした、というもの。

 2001年11月、外部から「ミートセンターで輸入牛を国産として扱っているのではないか」と偽装工作の指摘を受けた雪印食品は、その時点で内部調査を行なった。しかし、牛肉の入出荷伝票を全くチェックしないまま「指摘される事実はない」として、調査をうち切っていた。

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遅れる精神障害者福祉、市町村の40%が訪問介護の検討をしておらず。

 改正精神保健福祉法に基づき2002年度から市町村が行なう精神障害者に対する訪問介護を、約40%の自治体が検討していないことが、10月21日に開かれた沖縄県宜野湾市での日本社会福祉学会で、全国精神障害者家族会連合会(全家連)の調査結果として報告された。

 2000年末から2001年初めにかけて全家連が全市町村約3200にアンケートを実施した結果、約2300が回答したが、改正法通り「来年度から実施方向で検討」としたのは約53%にとどまった。

 また、日常生活の支援や相談を行なう精神障害者地域生活支援センターが整備済みの市町村は約26%で、授産施設や共同生活施設など関係施設がない自治体が約23%あった。(01・10/21)

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「遺跡のロマン」に深い傷、旧石器発掘ねつ造で日本の前・中期旧石器時代の存在が幻に。

 旧石器発掘ねつ造問題を調査している日本考古学協会の調査研究特別委員会の調べに対し、東北旧石器文化研究所の藤村新一前副理事長がねつ造を認めている遺跡は、前期旧石器研究の「原点」とされた座散乱木や馬場壇Aなどを筆頭に、7道県42遺跡に上ることが分かった。

 藤村氏は、ねつ造が発覚した2000年11月、上高森(宮城県築館町)と総進不動坂の2遺跡だけのねつ造を認めていたが、調査委が5月以降数回にわたって藤村氏と面談した結果、遺跡の名前をメモに記して示すなどして、実際には彼が発掘に加わったほとんどの調査で「ねつ造」していたことを認めた。

 1976年から発掘調査が行なわれた座散乱木遺跡(宮城県岩出山町)では、81年に約4万年前とされる石器が出土し、約3万年前が境とされていた前期旧石器の存否論争に終止符が打たれ、馬場壇A遺跡(宮城県古川市)では、約20万年前とされる石器が出土し、東北の前期旧石器の年代を一気にさかのぼらせた。
 しかし、前期旧石器の根幹をなすはずの2遺跡での出土は、「ねつ造」という事実の下に幻と化してしまった。

 この他、国内最古の洞穴遺跡とされた瓢箪穴(岩手県岩泉町)や「秩父原人」が注目を集めた埼玉県秩父市の小鹿坂、長尾根両遺跡などでも「ねつ造」していたことを認めた。

 これにより、日本の前・中期旧石器時代の存在を証明したとされる重要な遺跡の信ぴょう性は完全に崩れた。
 前期旧石器の存否は白紙になり、この時代の研究も振り出しに戻るが、影響は学界にとどまらず周囲にも波及し、遺跡を抱える自治体では動揺が大きく広がっている。また、教科書関連では出版社が一連の遺跡の記述を削除する方針を固めている。
(01・10/5)

※関連記事バックナンバー:地域動向「宮城県上高森遺跡で約60万年前の生活遺構が見つかる!は、調査団長の自作自演で真っ赤なウソ?

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薬害エイズ事件裁判、薬害をめぐる行政判断で「刑事責任アリ」の判決。

 東京地裁は9月28日、薬害エイズ事件の判決で、2人の患者にエイズウイルス(HIV)に汚染された輸入非加熱血液製剤を投与させて死亡させたとして「業務上過失致死罪」に問われた元厚生省生物製剤課長の松村明仁被告に、禁固1年、執行猶予2年(求刑禁固3年)を言い渡した。薬害をめぐる行政判断で刑事責任が認められたのは初。被告側は控訴する方針。

 判決理由では「85年末ころまでには、血友病のエイズ患者が5人認定されるなど、被告の危険性認識は相当程度に高くなっていた」と指摘したうえで「製薬会社や医療施設に残っている非加熱製剤で患者がHIV感染することを防止する注意義務があったのに、漫然と放置した過失がある」と結論付けた。
 加熱製剤承認前の1985年5月〜6月の投与については「多くの血友病専門医が治療効果を考慮した上で非加熱製剤を使っていた。血友病治療経験もない行政官にすぎない被告が、治療に支障のあるクリオ製剤使用などを実施させる注意義務があったとは認められない」として、無罪とした。

 同事件で起訴された全員の一審判決がこれで出揃った。ちなみに、安部英・元帝京大副学長は無罪、製薬会社旧ミドリ十字の歴代3社長は実刑となっている。(01・9/28)

●関連記事バックナンバー:「戦後最大の薬害事件」での「医師の刑事責任」を問う裁判で東京地裁、医師無罪の判決。

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夫婦別姓使用にむけた法改正にはずみ、内閣府調査で賛成派が反対派を上回る。

 内閣府は8月4日、「選択的夫婦別姓制度に関する世論調査結果」を発表した。
 結婚後も夫婦がそれぞれの姓を名乗ることができるための法律改正に「賛成する」との回答が42・1%で、「反対」回答の29・9%を上回った。職場や各種証明書などで旧姓を使用する法改正について容認する人も含めれば賛成派は65・1%にのぼった。

 これまで法務省は、法制審議会で1991年から夫婦別姓について検討を開始し、96年に選択的夫婦別姓制度の導入を盛り込んだ民法改正要綱をまとめていた。しかし、自民党内に「家族の一体感がなくなる」などと反対論が根強いため、法案提出は止まっていた。
 同制度導入について政府は、調査結果を重視する方針を示していることから、、今後、法改正に向けた動きが加速しそうで、秋の臨時国会では、この問題も焦点の一つになりそうだ。
(01・8/5)

●法相が「何とか提出したい」と意欲を示す選択的夫婦別姓制度導入のための民法改正案は、臨時国会への提出が困難な見通しとなってきた。突然のアメリカの惨劇および報復攻撃にからんだ自衛隊法の問題をはじめ、国内の景気や雇用対策関連の重要法案を抱える上、法務省が提出予定の法案も山積みで、根強い反対がある与党内の雰囲気が変ったとしても、物理的に無理な情況だ。

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都市計画で住民にも発議権、国交省が法改正へ。

 質の高い街づくりや再開発を進める目的で国土交通省は、地域に建てられる建物の種類や規模などを定める都市計画の原案について、住民や街づくりを進める民間非営利団体(NPO)なども発議権が持てるよう、都市計画法を改正する方針を固めた。

 今後、社会資本整備審議会で詰めの議論をし、次期通常国会に都市計画法改正案を提出する予定だ。

 併せて複数の都市計画区域に深く関係する基幹的な道路や病院、公共施設などの位置を定める都市計画については、自治体間での合意形成を図るための仕組みも用意する。
 また、再開発については「住民の支持を得ているか」などの観点からガイドラインを定め、環境面のほか、街並み保存など、地域に残された財産を生かした地域づくりや駅前開発などで、中心市街地の活性化策につなげたい意向だ。
(01・7/29)

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機密費詐欺事件を捜査する過程で新たな着服横領事件が発覚、内閣官房機密費だけでなく、サミット経費の公金もだまし取る根腐れ官僚の象徴、外務省幹部。

 機密費詐欺事件を捜査する過程で、外務省幹部らが沖縄サミット(主要国首脳会議)でのハイヤー代を水増し請求させ、差額分約1200万円を不正に受け取っていた疑いが強いことが分かった。
 警視庁捜査2課は7月13日、外務省経済局総務参事官室課長補佐と同室事務官について、強制捜査に乗り出す方針を固めた。

 2人は、1999年7月のサミット準備事務局発足当初から昨年12月ごろまで事務局で庶務や会計などを担当。ハイヤー会社への車の割り振りや契約などを行なっていたが、その際、ハイヤー会社に水増し請求させて、ハイヤー会社に料金が支払われた後、水増し分をタクシーチケットや高速道路の回数券などにして課長補佐らが受け取り、一部は金券ショップなどで換金し、私的に遊興費や飲食費などとして使っていた。また、沖縄に運ばれたはずのハイヤーがサミット期間中、都内で民間会社の役員の送迎などに使われたことも判明した。

 ちなみにサミットでの送迎用の車の契約総額は約3億4565万円。

 今や根腐れ官僚の象徴となっている外務省職員は、機密費だけでなく、サミット経費の公金もだまし取っていた。

 815億円もの予算が計上された沖縄サミットは、無駄の象徴として当時、海外のメディアから相当批判された。
 海外のメディアは、開催費が約26億円だった前年のドイツ・ケルンサミットと沖縄サミットを対比し「キャビアをさかなに貧困国の債務を協議している宴会旅行」「沖縄サミットの開催費だけで、議論されているアフリカの発展途上国5カ国の1年分の債務を帳消しにできる」などと皮肉った。
 外務省は190億円強の予算を確保し、せっせと無駄遣いや私利私欲のための公金横領算段に明け暮れていたようだ。
(01・7/14)

※警視庁は7月16日、外務省職員2人に加え、東京都内のハイヤー会社、日の丸リムジンの常務ら2人を、公金約1200万円をだまし取った詐欺の疑いで逮捕した。

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あとを絶たない米軍の犯罪で、沖縄の北谷町議会は基地の集中配備見直しを求めて抗議決議、沖縄県議会も日米地位協定改正を要求、日本政府は改定を米政府に要求せず。

 在沖縄米軍の空軍軍曹による婦女暴行事件が起きた沖縄県北谷町では7月3日、臨時町議会が開催され、米軍基地の沖縄への集中配備を抜本的に見直すことなどを求める抗議決議案を可決した。

 抗議決議は、暴行事件について「野獣のような行為に対し、満身の怒りを持って厳重に抗議する」としたうえで「米兵の犯罪が絶えないのは、沖縄県民に対し占領意識を持ち続けているためだ。国土のわずか0・6%にすぎない沖縄に、全国の米軍専用施設の75%という過密な集中配備がその根元にあることは明白だ」と、厳しく指摘した。

 「米空軍兵士が女性を暴行するという人権を蹂躙(じゅうりん)する凶悪な犯罪で、断じて許せない。事件・事故のたびに綱紀粛正の徹底を米軍に申し入れているにもかかわらず、また事件が発生したことは極めて遺憾であり、米軍に強く抗議する」と表明した稲嶺知事も7月3日、防衛庁を訪れて中谷長官に「事件が起こり、県民は胸を痛めている。抜本的な対策が必要だ」と事件対応への全面的な協力を求めると共に、国、県、米軍などで事件防止のために協議するため発足したワーキング・チームの在り方にも触れ「実効性あるために、もっと掘り下げた効果的な運営を講じてほしい」と要請した。

 今回の米兵による女性暴行事件は、発生が日米首脳会談の前日だったことから、日本、アメリカの両政府は、これまでとは多少違った対応をしたものの、基本的には、沖縄での米軍の犯罪、事件、事故はあとを絶たず、慣例化し、放火、車上狙い、器物損壊、婦女暴行などに対する米側の対応もマヒしているのが実情だ。

 1995年の米兵による暴行事件をきっかけにした日米地位協定の運用見直しで、殺人や婦女暴行などの凶悪犯罪で日本側が起訴前の引き渡しを要請した場合、米国側が原則として引き渡すことになっているが、これまでに引き渡しが実現したのは、長崎県佐世保市で96年7月に起きた強盗殺人未遂事件の1件だけ。

 日本政府が要請している起訴前の引き渡しが実現すれば、1995年の米兵による暴行事件をきっかけにした日米地位協定の運用見直し後2例目で、沖縄県内では初めてになる。

 ちなみに「慰霊の日」に沖縄を訪ねて「沖縄の人々の思いを体して臨む」と明言した小泉首相が、日米首脳会談で得たブッシュ米大統領からの回答は、何もナシだった。普天間飛行場代替基地の「15年使用期限」についてブッシュ米大統領から「困難な問題だ」とあっさり蹴られたものの、小泉首相はニコニコして日米同盟の重要さに対する認識を示すといったあんばいで、沖縄県民が「もしや」と期待したものは、やはり幻想に過ぎなかったことを日米首脳会談は正直に示した。(01・7/3)

※沖縄県議会も7月5日、本会議を開き、「相次ぐ事件は、本県に米軍基地が集中していることに起因している」として、 米軍基地の一層の整理縮小、海兵隊を含む米軍の兵力削減などを求め、日米地位協定を抜本的に改正することなどを要求する抗議決議、意見書を全会一致で可決した。
 抗議決議は、アメリカ駐日大使らに提出し、意見書は首相、外相、防衛庁長官らに渡す。

※衆院外務委員会は7月10日、起訴前の日本の身柄拘禁権を制限する日米地位協定の「改定」について協議したが、最終的に「改定」要求はせず、運用改善も含めた「見直し」を政府に求める玉虫色の決議を全会一致で採択した。
 田中外相はこの日の委員会で「運用改善で対応し、どうにもならなくなった時には改定も視野に入れて対応する」「首相も同じ考え」と述べ、政府として、米政府に日米地位協定の「改定」を提起する考えは今のところない、とした。
 決議では「政府は、再発防止と地位協定の抜本的見直しを求める自治体や住民の思いを真しに受け止め、米軍に起因する事件・事故から国民を守る責任がある」と述べるにとどめた。

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北海道で訓練中のF―4EJファントム戦闘機が20ミリ機関砲で車庫や乗用車に誤射。

 6月25日午前11時ごろ、北海道恵庭市島松の北海道大演習場で射撃訓練をしていたF―4EJファントム戦闘機が発射した20ミリ機関砲の訓練弾が、北海道北広島市富ケ岡の福祉施設「北広島リハビリセンター」の駐車場に停めてある乗用車やバスなどに当たり、車の窓ガラスなどが壊れるという事件が発生した。

 この誤射により、乗用車1台の後部ガラスはすべて割れ、バスの屋根、バス用車庫の屋根や渡り廊下の鉄製の屋根が突き破られた。

 誤射したのは、千歳基地を飛び立った航空自衛隊83航空隊302飛行隊(那覇所属) の戦闘機で、計4機で飛行中に空中から射撃を行なう空対地射爆訓練を実施、訓練弾は約200発が発射された。

 当時、施設内には入所者や職員合わせて400人近くがいたが、たまたま外に出ている人もおらず、さいわい同センターの職員や利用者にけがはなく、惨事には至らなかった。
 訓練弾は実弾とは異なり、火薬が入っていないというが、昼前ののどかな時間に行なった税金の無駄遣いの不必要な「戦闘ごっこ」が、とんだ災難をもたらした。

 自衛隊による最近の誤射事件では、99年2月に、京都府舞鶴市の海上自衛隊舞鶴基地で、護衛艦が20ミリ機関砲の実弾2発を山に向けて誤撃したケースがある。(01・6/25)

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ハンセン病国家賠償請求訴訟で熊本地裁、国の責任を認めて原告全員に国家賠償の判決、政府は控訴断念、国会は謝罪表明の決議を採択、補償金支給法が成立。

 国立ハンセン病療養所の元患者ら127人が、らい予防法などによる隔離政策で人権を侵害されたとして、1人当たり1億1500万円、総額約146億円の国家賠償を求めた「ハンセン病国家賠償請求・西日本訴訟」で5月11日、熊本地裁は、国の責任を認めて原告全員に総額18億2360万円を支払うよう命じる判決を言い渡した。

ハンセン病:以前は「らい病」と呼ばれた。皮膚や末梢神経などが侵される感染症。感染力は極めて弱く、遺伝もしないが、「強い感染力を持ち、遺伝する」と決めつけられた。このため、患者たちは隔離されるなどして、長年、差別や迫害を受けた。らい予防法が廃止されたのは1996年。

 裁判で原告側は「戦後は化学療法で治る病気になっているにもかかわらず、隔離をはじめ、断種・堕胎の優生手術も行ない、社会の差別と偏見を助長して基本的人権を侵害した」と訴えていた。

 争点の「ハンセン病患者を療養所に強制的に隔離したことの是非」については、「ハンセン病予防という公衆衛生上の見地から、患者の隔離は許されるべきだ」としながらも「当時の医学的知見を総合すると、1960年以降、ハンセン病は隔離しなければならないほど特別な疾患ではなくなっており、隔離規定の違憲性(個人の尊重を定めた憲法13条違反)は明白」として、厚生省(当時)の対応を「60年の時点で隔離政策の抜本的な変換を行なう必要があったが、法廃止までこれを怠った」と断罪した。

 また、患者団体が法改正の陳情などを行なったにもかかわらず国会が、らい予防法の改定や廃止を行なわなかったことについては「立法上の不作為があった」として、国の過失を認めた。

 国側は、提訴から20年以上前の不法行為は賠償責任が問われないとした「除斥期間」の適用を求めていたが、「除斥期間の起算点は違法行為の終了した法廃止時(1996年)と解するのが相当」として、国側の主張を退けた。

 政府は、この熊本地裁判決について「最高裁判例に反し、国会議員が適切な立法措置を取らなかったことに対する不作為行為の法的責任を広く認め過ぎている」「この判決が確定すると国を相手取った他の国家賠償請求訴訟などに大きな影響を与える」などとして、控訴する方針だったが、5月23日、原告の高齢化などに配慮し、福岡高裁への控訴を断念することを決定した。

 そして、ハンセン病問題の早期かつ全面的な解決を図るため「全国の元患者約5000人に補償するための特別立法を行なう」「療養所の退所者給与金制度の創設や、過去の差別の歴史についての反省を盛り込んだ元患者の名誉回復措置を取る」「元患者と政府との協議の場を設ける」などの方針を示した。

 ハンセン病患者らによる国家賠償請求訴訟はこの他、東京、岡山の地裁でもおこされているが、これにより、原告総数1700人以上におよぶハンセン病訴訟が全面決着する方向に傾いた。(01・5/23)

国会は謝罪表明の決議を採択

 熊本地裁の判決を受けて国会は6月7日、衆院本会議で立法府としての責任を認め、「患者や元患者が受けた苦痛と苦難に対し、深く反省し謝罪の意を表明する」という国会決議を採択した。

国会決議の全文
 去る5月11日の熊本地方裁判所におけるハンセン病国家賠償請求訴訟判決について、政府は控訴しないことを決定した。本院は永年にわたり採られてきたハンセン病患者に対する隔離政策により、多くの患者、元患者が人権上の制限、差別等により受けた 苦痛と苦難に対し、深く反省し謝罪の意を表明するとともに、多くの苦しみと無念の中で亡くなられた方々に哀悼の誠を捧げるものである。
 さらに、立法府の責任については、昭和60年の最高裁判所の判決を理解しつつ、ハンセン病問題の早期かつ全面的な解決を図るため、我々は、今回の判決を厳粛に受け止め、隔離政策の継続を許してきた責任を認め、このような不幸を二度と繰り返さないよう、すみやかに患者、元患者に対する名誉回復と救済等の立法措置を講ずることをここに決意する。
 政府においても、患者、元患者の方々の今後の生活の安定、ならびにこれまで被った 苦痛と苦難に対し、早期かつ全面的な解決を図るよう万全を期するべきである。

補償金支給法(議員立法)が成立

 隔離政策でハンセン病療養所に入所した患者・元患者らに対する補償金支給法が6月15日の参院本会議で可決、成立した。政府は、熊本地裁判決の原告や療養所入所者、学識経験者らで構成する「審査会」を設置し、元患者らの請求に基づき、支給手続きを進める。

 補償額は、療養所への入所期間に応じ1400万、1200万、1000万、800万円の4段階。請求期限は施行日から5年以内で、請求後に本人が死亡した場合は、生計を同じくしていた配偶者ら遺族に支給する。
 対象者は約5500人、総額は約700億円の見込み。

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原子力災害史上で初めて刑事責任が問われるJCO臨界事故での初公判、7被告が起訴事実を全面的に認める。

 1999年9月に起きた茨城県東海村・JCO(核燃料加工会社)東海事業所での臨界事故の初公判が4月23日、水戸地裁で行なわれ、被告人すべてが、業務上過失致死や原子炉等規制法(炉規法)違反などの起訴事実を全面的に認めた。

 業務上過失致死や原子炉等規制法(炉規法)違反、労働安全衛生法違反など、原子力災害史上で初めての罪に問われたのは、JCO東海事業所前事業所長ら同事業所ら6人と東京都港区にある法人としてのJCOの計7被告。
 被告らは、ズサンな作業によって作業員2人が死亡した国内最悪の原子力事故に関して、同事業所は、85年の操業開始当時から制限を超えるウラン投入を行ない、違法操業による臨界事故発生の危険性を92年から認識していたことを認めた。

 原子炉等規制法違反の概要は「被告らは、1995年9月18日から、国に無許可で施設の設備を変更し、高濃縮度の粉末ウランの溶解工程でステンレス製バケツを使用し、違法マニュアルを作成してこれを常態化させていた」というもの。
 業務上過失致死罪の概要は「原子炉等規制法に違反したのに加え、労働安全衛生法違反(作業員への教育を長年しなかった)ため、臨界事故発生の恐れが極めて高かったのに正規の作業手順を無視するなど業務上の注意義務を怠り、臨界事故が発生。結果として、作業員の大内久さん(当時35歳)と篠原理人(同40歳)の2人を急性放射線症による多臓器不全で死亡させた」というもの。

 また、被告の弁護側はこれらに加え、科学技術庁(現・文部科学省)の管理・監督方法や無理な納入態勢を強いた核燃料サイクル開発機構(発注元)にも事故発生の遠因があると意見陳述し、政府や核燃サイクル機構の姿勢にも問題があることを示唆した。

 被告側は、起訴事実を全面的に認めると共に犠牲者2人へのおわびの言葉を述べ、今後、争わない姿勢を示した。裁判は早ければ年内にも結審するが、国の責任は不問に伏される模様だ。(01・4/23)

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事故隠しやデータ改ざん、安全管理意識欠如など根腐れの核燃料サイクル開発機構、今度は給与予算を水増し受給。

 事故隠しやデータ改ざん、安全管理意識の欠如など、信頼度が低下している核燃料サイクル開発機構が、今度は、職員数をごまかして水増し、それに基づいて割りふりされた予算を国から受けていたことが判明した。

 核燃機構は、「正規の人数を報告すると給与財源が足りなくなるため水増しした」旨を認めている。

 核燃機構は、1999年度の職員数が実際には2537人のところを2676人に水増しして、国に給与予算の基礎となる「給与実態調査資料」を提出。これを基に配分された給与予算(約230億円)から、水増しした139人分の給与を抜き取り、それを実際の職員給与に上乗せしていた。この水増し分を1人当たりの平均給与に直すと実際よりも年間で1人約50万円多くなる計算で、同様の方法は現在も続いているという。

 また、人件費をやりくりするための操作として、主に研究開発費に充てる事業経費の一部を「社内調整費」として長年にわたって事務経費に流用し、それも人件費にまわしていた。

 これに関して核撚機構は、「事業経費の中にも人件費が一部含まれており、効率的に予算配分するための一括管理で、裁量の範囲内」と釈明しているが、同機構の予算は、すべて国からの出資金と補助金で賄われており、事業部門と事務部門間の経費の繰り入れは禁止されている。

 昨年度の予算は、事業部門(出資金)約1257億円、事務部門(補助金)約399億円だったが、事業部門から38億8500万円を事務部門に繰り入れ、施設の運転などにあたる「業務協力員」の人件費や事務費として運用、 社内調整費は5年間で254億円にのぼる。

 核燃機構は4月3日、この事実を認めると共に「事実経緯などの詳細については2週間をめどに調査し、早急に公表したい」としている。

 核燃機構には、国に提出する「認可予算書」と、社内調整費を盛り込んだ「実施予算書」の二重の帳簿があることも分かったが、「規程に基づくもので、裏帳簿ではない」と説明している。 (01・4/3)

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情報公開法、施行。

 情報公開法が4月1日に施行された。誰もが国の行政文書に対して公開請求ができる。受付窓口は中央省庁や出先機関など全国1776カ所。請求費用は1件当たり300円。

 プライバシーや国の安全を侵すなどの恐れのあるものは、例外的に非公開。これらに関しては、請求を受けた省庁が原則30日以内に公開するかどうかを決めて通知する。

 原則、何でも遠慮なく行政文書の公開請求が可能なので、文書の存在の有無などをめぐってのやりとりも粘り強くやれば、各機関は開示する義務を持つので時間はかるものの、開示される。

 しかし、お役所仕事。本省が持つ情報の公開請求を、地方で受け付けるかどうかで早々ともめる所も多く、中央と地方の開示格差がでるのは必至の状況だ。

 受付が始まった2日は、オンブズマンのグループなどが各窓口で開示請求したほか、大津地裁で国などに損害賠償を求めているヤコブ病訴訟の原告も、厚生労働省に文書公開を請求した。
 大津ヤコブ病訴訟の原告側が請求したのは乾燥硬膜「ライオデュラ」を製造したドイツの会社と、東京の輸入販売会社が当時の厚生省に提出した資料をはじめ同省の独自調査資料など。
 ちなみに原告は訴訟で「当時の厚生省は、遅くとも1978年には脳組織の移植によるヤコブ病発症の危険性を認識しており、早急に乾燥硬膜の使用停止措置などを取るべきだった」などと主張しており、今回の開示請求で「公正な訴訟資料を取りたい」としている。
(01・4/2)

2001年4月施行の主なもの
改正少年法
:刑罰適用年齢を16歳以上から14歳以上に引き下げ。

消費者契約法:契約の際、うその説明をするなど、悪質な契約に関しては消費者が取り消すことができる。

公共工事入札契約適正化法:国などが発注する工事の入札参加業者名、落札業者名、落札価格などの公表を義務化。

改正JAS表示:認証機関による有機農産物表示や遺伝子組み換え24品の表示など、表示の義務化が拡大。

家電リサイクル法:ブラウン管テレビ、冷蔵庫、洗濯機、エアコンを対象に、消費者が料金を負担し、メーカーに資源の再利用を義務付け。

電子認証法:インターネットによる電子商取引を進めるため電子署名制度を導入し、国が認証業務を認定する。

グリーン購入法:政府や特殊法人に環境保全対策がされた物品の購入を義務付け。

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