環境ホルモン

内分泌を乱してホルモンのバランスを崩すはたらきをする化学物質の総称で、ガンはもとより雄を中性化させたり雌化させたり精子を減少させる事例が、現段階では認められている。これまで確認された70種類の環境ホルモンのうち、20種類はプラスチックが原因。

身近なところでは、プラスチック容器/ラップがあり、次のような使い方をすると環境ホルモンが溶け出し、人体に極めて深刻に影響をおよぼす。
1)プラスチック容器を加熱して使用すると、熱によって化学物質が溶け出す。例えば「カップめん」「ほ乳びん」「耐熱容器」など。
2)プラスチック容器を油性食品とともに使うと、化学物質が溶け出す。例えば、肉などの油分の多い食材に食品ラップをかけた場合、10分で化学物質が溶け出す。さらに電子レンジでチンすると、一気に加速する。
3)プラスチック容器で長期間、食品を保存すると、食品と容器が接触し続けることによって化学物質が溶け出す。

[PC製容器について]食品衛生法は、材質でビスフェノールAが500ppm以下(1ppmは100万分の1)、溶出試験では2.5ppm以下の濃度と定めている。だが、現在の基準値は毒性や発がん性を考慮して設けられているにすぎず、ppb(10億分率)やppt(1兆分率)の単位で影響が懸念される環境ホルモンの基準にはそぐわないと指摘されている。

軽量で熱に強く傷が付きにくいなどの特性から、PC製容器は、ほ乳瓶から計量カップ、学校給食用の食器まで幅広く普及。昨年秋ごろから全国各地の研究機関の調査で、PC製のほ乳瓶や食器からビスフェノールAが高濃度で検出されたという報告が相次いだ。

[最近の事例]今年2月、大阪府内で子ども用のプラスチック容器茶碗から、食品衛生法の基準をこえる環境ホルモン「ビスフェノールA」(炭素、水素、酸素からなる化合物で、エポキン樹脂やポリカーボネートなどのプラスチックの原料となる。他のプラスチック製品の抗酸化剤や安定剤などにも使われる。年間の国内生産量は約25万トン。これを慢性的に摂取すると白血病などを引き起こす)が検出され、製造/流通/販売業者は回収に追われた。

[対応方法]プラスチック容器/ラップは使わないようにする。そのかわりとしてガラス容器や陶磁器を使用する。また、コンビニで弁当を買う際「アタタメますか?」の問いには「ノー」という。「自分はどんな異常になっても、ホカホカの弁当を食べたい」と思う人は「イエス」という。

調理の際の塩ビ製手袋使用はダメ
 調理の際に塩化ビニール製手袋を使っていることから、コンビニやスーパーなどの市販の弁当、外食レストランの定食や病院食などで、環境ホルモン(内分泌かく乱化学物質)の一つ、フタル酸ジエチルヘキシル(DEHP)が高濃度で見つかった調査結果を受けて、厚生省は、スーパー、コンビニ、外食レストラン、弁当チェーンなど関係業界団体に、調理の際の塩ビ製手袋使用を自粛するよう要請すると共に、食品衛生法に基づく規格基準に、調理などに対し、DEHPを使った塩ビ手袋の使用を禁止する項目を盛り込むことも決めた。

 DEHPは、塩ビ樹脂を軟らかくする添加物で、動物実験では精巣への毒性が報告されていることから、環境ホルモンの一つに指定されている。しかし、使用は禁止されておらず、最近では逆にO─157騒動以降、その対策として調理現場で使い捨ての塩ビ製手袋が便利さも手伝って大量に使われるようになった。

 厚生省は、「一生食べ続けても健康に影響がない量」の耐容1日摂取量(TDI)を、DEHPで体重50キロの人に対して、2000〜7000マイクログラム(1マイクロは100万分の1)と設定しているが、国立医薬品食品衛生研究所などの研究班が、昨年8月〜12月にかけて、コンビニやスーパーなどの市販の弁当、外食レストランの定食や病院食などを調査した結果、最高濃度の弁当からは1食で4300マイクログラムを検出、病院食でも、朝昼夕3食の合計で最大2500マイクログラムに達する例があり、DEHPを検出した弁当などは、そのすべてでDEHPを含む塩ビ製手袋が調理や盛り付けなどで使われていたことが判明した。

 また、弁当を詰める実験を行なったところ、使う前と後では、塩ビ製手袋を使って弁当を詰めると米飯で54倍、焼きうどんで51倍のDEHPが検出された。そして、消毒アルコールや高温の揚げ油を使うと、さらに検出量が跳ね上がることも確認できた。
 これらことから、塩ビ製手袋を使うと耐容1日摂取量(TDI)を超えるおそれがあるとして、使用を禁止するよう要請した。


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輸入エビ

ブラックタイガーをメインに外食レストランやスーパーに、輸入エビが並ぶ。どれもうまそうで、食欲をそそる。しかし、これを輸出するタイやベトナムなどでは、養殖用の池を確保するためにマングローブがおいしげる水辺の森林伐採が続けられている。樹木が無くなれば水への浄化作用も欠落していく。すると養殖池には当然のように病気が発生する。それを防止するために薬剤が池に投入される。しばらくすると薬剤の効き目が無くなり、さらに病気が発生する。それをくい止めるために、より強い薬剤や抗生物質が投入される。その結果、エビは薬漬けになる。

日本はエビの大輸入国。安くてうまくて、食欲が満たされれば、輸出国の環境がどうなっても構わない、と言わんかのように食いまくる。

薬漬けのエビは不安だから食いたくないという、いわゆる安全性指向の人は多い。しかし、エビを食えば食うだけ、マングローブの樹が一本、また一本と根こそぎ伐採されていくから食いたくないという人は、まだまだ少ない。
しかし、他国の森林を食い尽くしてまで何もエビを欲しいままに食うことはない。


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秀真伝(ホツマツタエ)にみる食生活の真髄

日本に現存する一番古い書物は『古事記』と一般には言われているが、それよりも古いのが『秀真伝』らしい。そしてそこには、興味深い記述が、次のように残されている。

「宇宙ができるとき<陽>から空・風・火が生じ<陰>から水・埴(粘土の一種)が生じたが、地上の物も、この5元素で構成されている。このうち3元素のものは食べ、2元素・4元素のものは食べない。食べるものとしては田畑の作物が最高で、次はウロコのついた魚だ。鳥は火が強く、命の油が早く燃え尽き、短命となる。肉はもっと悪く、体が縮んで空太りし、毛も枯れ短命となる。もしあやまって食べたら、カブや大根を食べることだ。人の心には日と月の霊気が必要である。鳥や獣の肉には、日と月の霊気が入っていないので、それを食べれば、心が荒れる。五穀は日と月の霊気で育つので、人の心を潤わす栄養となる」

これを受けて「食べ物の中にも<陽>と<陰>があり、ナトリウム元素を多く含むものが<陽=収縮の性質>でカリウム元素を多く含むものが<陰=拡がる性質>で、人間の身体もこのバランスで健康を保っている」と言ったのが、明治時代の医師・石塚左玄。

現代の食事にこれを置き換えると、動物性のものはナトリウムが多く、植物はカリウムが多いということになり、<陽性>の代表的な食べ物は「卵・肉・魚・味噌・醤油」などで、<陰性>の代表的食べ物は「砂糖・化学調味料・果物・芋類・酒」など。
そこで、この中でも極めて陽性なのが肉で、極めて陰性なのが砂糖。その極陽と極陰の双方を好んで食しているのが、何を隠そう私たち人間。

砂糖を筆頭に陰性のものを常食していると、体を冷やし、体そのものの機能や血液濃度を緩め、免疫力を低下させ、新陳代謝も不活発にさせる。そして、肉を筆頭に陽性のもを常食していると、交換神経が刺激されて高血圧になり、体のカルシウムが奪われ、動脈硬化を促す。

「肉」という極陽をとると同時に「砂糖」という極陰をとれば、つまり「焼肉やステーキ食い放題」のあとは「ケーキや果物で口直し」が、うまく相殺してバランスが取れる、と考えられそうだが、双方が両極なので、ますます体調が悪くなるのが実情。

「過ぎたるは及ばざるが如し」両極を摂取するよりも、もともとバランスのとれた中庸な食物を摂取するのが、どうやらいいようだ。その中庸な食物とはちなみに「穀物・根菜・海草」など。

無農薬や有機農産物を買い求めるのもいいが、安全性だけでは体のバランスは取れない。もう一歩、踏み込んで「食べるということ」を考える必要がありそうだ。


「安全な農産物や食材の確保」という視点の他に、
体調保持と食事の関係を知るのも必要。
「季節と食と身体の関係」を、
観点をちょっと変えて、
食養や薬膳の話」から
見てみませんか。


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