わいせつ行為での公立小中高校教員処分、増加傾向。

 公立小中高教員の資質低下が進行しているなか文部科学省のまとめで、わいせつ行為を理由に懲戒処分などを受けた公立の小中高校の教員が2002年度で175人と、過去最多だった2000年度の141人を大幅に上回ったことが分かった。うち被害者が教え子というケースが92人で過半数を占めた。2001年度より53人増え、懲戒免職は55・4%の97人にのぼった。

 処分の増加について文科省では、教育委員会が「子どもへのわいせつ行為は原則懲戒処分」の基準を適用して厳しく対処した結果とみているが、被害者側が申告しなかったこれまでの傾向から、被害者側が積極的に声を上げるようになったことも一因のようだ。

 また、学校教育法で禁じられている体罰を加えて処分された教員も451人で最多だった。

 ちなみに、生徒による暴力行為の発生件数、いじめの発生件数、不登校児童生徒数、高校中途退学者数、児童生徒の自殺者数は減少傾向にある。(03・12/22)

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ハンセン病差別のホテルを熊本地方法務局と熊本県が地検に告発。

 熊本地方法務局と熊本県は11月21日、「アイレディース宮殿黒川温泉ホテル」(熊本県南小国町)およびホテルを経営するアイレディース化粧品販売会社・アイスター(東京)が国立ハンセン病療養所菊池恵楓園(熊本県合志町)の入所者らの宿泊を断った問題で、旅館業法違反容疑で熊本地検に告発状を提出した。

 ホテルは9月、県の「ふるさと訪問事業」で同園の入所者ら22人の宿泊予約を受けた。しかし、11月に入って感染の恐れがないのに「他の客に迷惑が掛かる」などと宿泊を拒否。県がアイスター本社を訪問して説得および抗議を続けたが、「社の方針」としてかたくなに宿泊を拒否し続け、撤回しなかった。
 また、総支配人は当初、宿泊拒否について「判断を間違ったとは思っていない」「国が謝罪したからといって、100%の国民が受け入れているかといえば疑問」などと説明。 しかし、抗議の電話が殺到し、黒川温泉観光旅館協同組合からも批判されたことから、「社会に迷惑をかけたことに対して謝罪したい」とこれまでの考えを撤回し、「園の人たちにおわびしたい」と、全面的に謝罪する意向を示した。

 同ホテルの総支配人は11月20日、同園を訪れ、「私の無知と認識不足のため不愉快な思いをさせて申し訳ない」と謝罪したが、口先だけの謝罪だと受け取る同園の自治会側から「ホテルや自分の地位を守るためだけの釈明にすぎない」などと厳しい批判の声が続出し、同園の自治会は謝罪文の受け取りを拒否した。

 旅館業法では、宿泊希望者が明らかに伝染性疾病にかかっている場合などを除き宿泊を拒否してはならないと定められている。ハンセン病は日常生活では感染せず、伝染性疾病には該当しない。今回のように治癒している元患者に対して宿泊を拒否する行為は、極めて悪質な偏見で、法務省も重大な人権侵害に当たるとして、両者に是正を求める「勧告」を行なった。

 この問題では、黒川温泉観光旅館協同組合が組合除名処分を勧告。また、国立ハンセン病療養所菊池恵楓園の自治会長は「全国ハンセン病療養所入所者協議会などと連携し、今後の対応を検討する。アイスター本社での座り込みや、訴訟も辞さない」としている。(03・11/21)

●その後、ホテルを経営する「アイスター」が謝罪表明したことから全国ハンセン病療養所入所者協議会(全療協、約3700人)は12月20日、謝罪受け入れを表明した。
 1カ月ぶりの決着となったが、全療協は「なぜこんな時間を要したのか」と改めて不信感を強く表明し、旅館業法違反容疑で調べている熊本地検に「法的な手続きはきっちり進めてほしい」と求めた。

●熊本県が旅館業法に基づき3月15日から18日まで4日間の営業停止処分にする方針を固めた2004年2月16日、アイスターはアイレディース宮殿黒川温泉ホテルを廃業することを決めた。

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タイヤ脱落で三菱自工「多発性なし」と国に虚偽報告。

 横浜市で2002年1月に起きたトレーラーのタイヤ脱落による3人の死傷事故に関連して、製造元の三菱自動車工業は、これまでタイヤ脱落について対策を講ぜずに、ほぼ放置状態にしていたことが10月24日、判明した。

 この事故が起こる以前にも、広島県で1999年6月に高速バスのタイヤ脱落が起き、調査を求めた当時の運輸省に対して三菱自工は、その時点で、92年からトラックを中心に大型車ではタイヤと車軸をつなぐ「ハブ」の破断による同様の脱落が約50件発生していたにもかかわらず「同種の苦情はなく、多発性はない」と報告していた。

 神奈川県警は、幹部による対策会議で報告内容を決定した三菱自工に対して、多発性や重大事故につながる危険を認識していた可能性があるとみて関係者から事情を聴いている。

 横浜市で発生したトレーラーのタイヤ脱落では、直撃を受けて母子3人が死傷。夫と子供ら遺族3人が、トレーラーの運転手に約7350万円の損害賠償を求め、運転手側が約7000万円を支払うことで横浜地裁で和解した。
 死亡事故を招いた運行上の過失を否定する運転手側は、自賠責法の規定や被害者保護の観点から和解に応じたもので、三菱自工側の過失が将来確定した場合、支払った和解金の補償を同社に請求する考えを示している。
(03・10/26)

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