解 説

●減る歳入、増える歳出、増す国民負担率●

 2002年12月末段階で、国債の発行残高と借入金などを合計した「国の債務残高」(国の借金)は、前年比10・4%増の643兆1945億円に達した。2001年9月末との比較では1・8%増となり、債務残高は過去最高を更新した。財政投融資資金は、郵便貯金などを原資とする「資金運用部」に依存してきたが資金運用部への預託制度が廃止され、「財政投融資資金特別会計国債」(財投債)発 行による資金調達が急増したことが原因だ。財投債は前年比106・5%増の66兆9174億円に膨らんだほか、普通国債も、新発債に償還のための借換え債が加わって、同7・5%増の414兆8851億円となった。

 1990年度以降、過去最高を更新し続けている国債発行額だが、日本の国債依存度は、1992年のバブル崩壊後から場あたり(バチ当たり?)的な経済対策での国債発行で徐々に悪化。安易な国債依存による増発が加速し、98年度には40・3%になり、先進国の中では最悪の水準に至った。

 2000年度予算から、2年連続の積極型バラまき予算をうち立て、新たに32兆6100億円の国債を発行。経済対策の柱として策定した1999年度第二次補正予算で、国債発行残高と借入金とを合わせた国の借金残高が2000年3月末時点で501兆円と初めて500兆円の大台に乗り、借金漬けで国の財政状況は一段と悪化。これにより「潜在的な国民負担率」、つまり、国民所得に対する税金と社会保険料と国・地方の財政赤字を含めた合計額の占める割合は、4 9・2%と高水準になった。国の借金は、国債と借入金、FB(政府短期証券)で構成され、99年度当初予算編成時点での見通しは486兆2000億円だったが、二次補正による建設国債、赤字国債の増発と、外国為替市場での介入資金に使うFBに含まれる外国為替資金証券の発行限度額引き上げが借金額を押し上げた。

 2005年度までの国の財政状況を試算した「中期的な財政事情」では、今後の日本はさらなる借金漬けに陥ることが示唆されている。
 その「中期的な財政事情」では、「2000年度予算での財政出動後、一般歳出の伸びをゼロに抑えたとしても、毎年29兆〜37兆円の国債を新たに発行しないと、必要な財源をまかなえない」とした。
 経済成長率を年1・75%と仮定した場合の試算によると、税収は2005年度でも50兆6000億円にとどまり、2000年度より1兆9000億円しか増えない。一方、一般歳出に地方交付税交付金と国債費を加えた一 般会計の歳出は、歳出の伸びをゼロに抑えても82兆〜86兆円になる。仮に歳出の伸びを2%にした場合は2005年度には91兆円に達する。
 このため、税収との差額をまかなう国債発行額は毎年約30兆円にのぼり、2005年度末の国債発行残高は2000年度末の364兆円から5年間で127兆円増え、491兆円に達する見通しだ。

 場あたり的な対策で、どんどん減る歳入、じゃんじゃん増える歳出、そして潜在的にじわじわ増す国民負担率。黄金の国ジパングは破綻し、不景気に磨きをかけるかのようにさらに無節操な施策が続けられている。

 国のバランスシート(貸借対象表)
 公表が遅れに遅れていた国の資産と負債の状況を対比させる貸借対照表(バランスシート)を、大蔵省は2000年10月10日、1999年3月末時点の集計で初めて公表した。

 国の資産は、土地や道路などの固定資産、特殊法人などに対する政府出資金、政府保有の有価証券など659兆円を計上。負債は、政府保有分を除く国債や郵便貯金、公的年金の債務などで、公的年金の債務の解釈に応じて3つのケースを示し、負債が資産を上回る債務超過額は最小で133兆円、最大で776兆円也、とか。

 財務省、財政の中期展望で財政状況を試算
 大蔵省改め、財務省は2001年1月31日、2004年度までの財政状況を試算した「財政の中期展望」をまとめた。社会保障費と国債の元利払いに充てる国債費が増え続けるため歳出が膨らみ、新規国債の発行額は2001年度の28兆3000億円から2004年度には38兆8000億円に増えて、国債発行残高は483兆円に達する、としている。

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