解説

●子どもの異常行動●

 ナイフ事件に象徴されるように少年、少女の異常行動が社会に影をおとしている。

 因果論では「社会そのものが悪い」「教育現場やシステムに問題がある」「親が悪い」「いのちの尊さを知らない子どもそのものが問題だ」等々、いろいろ言われている。

 食べ物にその一因があるという観点で、その異常行動を見ようとする姿勢があまりないのが実情だが、「体質」そのものをつくりあげる手助けをする「食べ物」の異常、「食生活」の異常が、この少年や少女の異常行動に結び付いているむきは大きい。

 30年以上、子どもの医学に向き合い続けている伊藤慶二医学博士は、「体に与える影響については現代医学ではほとんど触れることはありませんが、実は大変厳しく決定的なものなのです」と前置きをして、次のように説明する。

●まずは、お砂糖。

 今、日本人は平均すると、一年間でだいたい30キロから50キロ近い砂糖を食べている。エネルギーに変換できるのは摂取量の20%なので、このように大量に砂糖を口に入れていますとあとは悪い代謝の仕方に変わるのです。砂糖が原因している病気は数え切れないぐらいあります。例えば、糖尿病・ハイパーアクティビテイー・イライラ・思考の短絡化・ノイローゼ・いじめ・自律神経失調症・頭痛・免疫力の低下・疲労・腰痛・肩凝り・神経痛冷え症・月経不順・卵巣機能低下症・流早産・未熟児・異常分娩・新生児の奇形・不妊症・胃のもたれ・胃潰瘍・十二指腸潰瘍・消化不良・下痢・便秘・痔・癌・近視・歯科疾患・カリエス・骨粗鬆症・関節炎・ぐにゃぐにゃ・肥満・高血圧・動脈硬化・虚血性心疾患・脳梗塞・物忘れ・老人性痴呆・総ての感染症・風邪・インフルエンザ・カンジダ症・アレルギー性疾患(喘息・アトピー性皮膚炎など)呼吸器疾患・汗かき・皮膚疾患・色素沈着・生命力の低下等、まだまだあります。砂糖だけでも止めれば現代の病気は10分の1や20分の1に減ります。

 何故こんなに多くの病気を引き起こすかというと、一番に血糖の上がり下がりが激しい。だから砂糖を多量に食べると急に高血糖になる。高血糖になると代謝するのにミネラルとビタミンが大量に消耗されます。それ以上になるとエネルギー転換ができなで、悪い別の代謝になってしまいます。転化して乳酸とコルステロールになって高脂血症になります。成人病は、コルステロールのある食べ物を沢山食べるというより、この砂糖から転化したものに大きな原因があるのです。さらに一部は酸化されたものが粘液酸や粘液となってアレルギー性疾患、さらに癌などの退行性疾患になっていきます。

 特に青少年に対しては急激な高血糖や低血糖はイライラして落ち着かない学習障害児・いじめ・暴力の源になり、思考が短絡化する児童などは必ず砂糖の摂取量に問題があります。

 ミネラルとビタミンが欠乏してくると、インシュリンが足りなくなるので糖尿病になる。乳糖が体外に出るとき、カルシウムをくっつけて出るので体内ではカルシウムが欠乏して、歯の病気・骨粗鬆症・整形外科的の病気が起こり、アトピー・喘息などのアレルギー性疾患は悪化することになる。砂糖は、先にもいいましたように組織を緩めるから血管や筋肉も緩んで血液の流れが遅くなり、脳梗塞・虚血性心疾患・低血圧・冷え性・便秘・胃腸の働きの低下、婦人科では、流産・早産・奇型・冷え性・更年期障害・不妊症・自律神経失調症などが起こる。

 眼科的には、目のレンズを調節する筋肉の力が落ちるから、近視・老眼など視力障害がでてくる。

 バイ菌・ウイルス・黴とかは、砂糖を好みます。エイズやO-157にしても砂糖が多いと体の細胞全部の免疫力が落ちてきます。総ての病原微生物の繁殖を促す砂糖を口に入れることはすべての感染症に「おいで、おいで」をしていることになります。

 皮膚に与える影響は、アレルギー疾患に代表されるようにすぐ皮膚に現れます。中性脂肪や油に転化したものが皮膚の下に溜まってニキビになります。長年の砂糖がシミ・ソバカスなど色素沈着にもなります。

 砂糖を一つ取ってもこれだけ生命力を消し病気をつくっているんです。

●次に肉。

 第一に交換神経を刺激します。するとノルアドレナリンとかアドレナリンといったホルモンが出、血圧が上がり攻撃的な性格になります。インシュリンの効果を下げるので糖尿病を引き起こす。リンの含有量が非常に高く上皮小体を刺激するので、骨や歯からカルシウムを奪い、血中のカルシウム濃度をあげ、胆石・動脈硬化などが起こる。多量に肉を食べる人は、カルシウムの排出量が普通の人の四倍、骨粗鬆症・胆石をつくる割合はベジタリアンの七百倍違うと言われています。

 肉を多量に食べると新陳代謝、ホルモンの活動が落ち、体をアルカリ性にしてしまいます。そこでヒスタミンが組織蛋白と結合して、感情的にも精神的にも肉体的にも応答が鈍くなり、自閉症・精神分裂症などが増え、炎症が起きやすく自然治癒力が下がる事になるのです。動物性脂肪酸が多くなるので、循環器の病気や肝臓に脂肪がつくことになります。

 肉に熱を加えると消化酵素が完全に死ぬので、消化するのに余分な酵素が必要となり、膵臓に負担がかかる。その負担で膵臓は肥大するが、それでも追い付かないときは、分解途中のものが吸収されてアレルギーやガンなどになっていくのです。

 肉の摂取量が代謝の限界を越えると、過アルカリ性になり、胃酸が足らなくなり慢性の便秘となります。そうなると腸管内の動物性蛋白質や脂肪の腐敗が起こり発ガン性のものをたくさん取り込むことになります。またほとんどの肉には、女性ホルモン剤が入っているので男性は前立腺、女性は乳ガン・不妊症・卵巣膿腫など婦人科の病気を作ります。

 自然農法だから、農薬はかかっておりませんといってもお肉は食べるし、お砂糖は使うしというのでは、何をしているのかあまり意味がありませんね。

●そしてケミカルなもの。

 化学物質の害で大事なことは、自然界に中にはこのケミカルなものを分解する酵素がないと言う事です。だから自然の中でも、人の体の中でも取り返しがつかなく長年にわたって災いするのです。生命力の基本になる微量元素が農薬、肥料、殺虫剤などを使うことによって食品の中から消えていきます。肉・卵・牛乳やそれらの加工品には、化学物質、抗生物質、殺虫剤、ホルモン剤などが濃縮されて入っています。

 お砂糖もそうですが、このような食品が多く口に入れば、間違いなく病気を起こすし、「環境ホルモン」の例をあげるまでもなく遺伝子レベルで異常をきたすし、異常行動にも結び付く。健康面や精神面、遺伝に対しても、これらの物質は問題があることが確実に分かっているのに、栄養があるとか、便利とか、体に良いとか言われて大量生産され、大量に摂取しているんですからね。

 また砂糖・肉・脂・牛乳等に関して少量とった時の消化・吸収・発育・エネルギー転換される代謝の過程は、現在の医学部の生化学の教科書に記されていますが、過剰に摂取され異常な代謝過程から病気になる事情はほとんど記載されていません。体内で正常な代謝ができる限界は想像している以上に低いものなのです。

●食生活を改善する必要もあるが、食べ物というのは、準備体操のようなもの。土台づくりです。

 もちろん、食だけでも治る病気はたくさんあります。子供のアトピー・喘息なんかは、砂糖を止めるだけで95%治ります。でも残りの5%があるからね。病気を治す場合、あるレベルまでは食事を変えないとダメですが、あとは想い・意識のところです。現実に起こる目で見える現象はすべて結果にすぎないのです。

 その源は必ず想い・こころ・想念にあります。つまり大脳新皮質の活動が消えて脳幹の働きである潜在意識が表に出て来ると、直観力・判断力すべて変わってきて、常識では考えられない強力な生命エネルギー・自然治癒力が自然に発生してきます。

 大脳新皮質、脳幹の働きとはどういう働きをいうのかというと、私たちが普通に生活していると主に大脳の新皮質・顕在意識が働いています。大脳の大部分を占めている外側が働いているんです。ここが働いているときは、脳波が非常に早い高いヘルツ数なんです。ヘルツ数が減っていきますと脳の中心部が働いてきて外の働きがだんだん消え脳幹・潜在意識が表に出て、何億年という過去の生き物としての情報が甦り生命力を呼び戻します。新皮質というのは、人間が戦争したり「我」や「欲」が張って発達したところで、生物として大事な情報というのは、新皮質にはなくて脳幹にあるのです。脳幹が働くようになると、生命エネルギーが高まるので、自然に病気が治るのです。自然治癒力といっても普通の状態でいう体を治す力と、潜在意識・脳幹の活動の活発な状態での自然治癒力とでは、全然病態と経過が違います。現代医学で治るはずのない病気が治るものここだと思います。大脳新皮質の活動が消えれば、脳幹の働きが活発になります。

 脳幹・潜在意識の働きを活発にするのにはどうすればいいのかと言えば、それは呼吸法と想い・考えです。自然に対し、人に対し感謝の念をもつことです。感謝の想いは、すでに病気を治しております。そこには神と自然と人と自分の間に一体感が存在しています。

 例えば、知らない人の足元に物が落ちたとき、「ちょっと拾わして下さい」とやってもね、取ってくれる人と「勝手に拾いな」と避けもしないで知らん顔している人の違い。自分のことしか頭にない人、エゴの強い人は脳幹が働かないし病気も治りにくいのです。

体内に潜在するさまざまなもの。これらが異常発酵して、少年、少女のみならず人間そのものに、多大に異常な影響をおよぼしているようだ。

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伊藤慶二医学博士の詳細なインタビユー記事は、小舎刊行の『「農」を基軸にどっこい生きる。』に掲載されています。「出版案内」のコーナーを参照ください。


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