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「狂牛病」侵入防止対策でEUからの牛肉輸入を禁止。

 農水省は12月21日、国内への「狂牛病」の侵入を防ぐために、EU(欧州連合)加盟国およびスイス、リヒテンシュタインの17カ国からの牛肉や加工品、精液、牛骨粉などの動物性飼料などの輸入を2001年1月から全面的に禁止する方針を決め、WTO(世界貿易機関)やEUなどに通知した。(00・12/22)

狂牛病:正式な病名は「牛海綿状脳症」。異常プリオン(たんぱく質)が病原体で、主に飼料を通じて伝染。感染した牛は、脳がスポンジ状になって神経マヒ症状を起こして死ぬ。
 1986年にイギリスで見つかったのが最初で、その後、感染した牛の遺骨が飼料に混入し、その飼料を再び牛が食べる食物連鎖で蔓延していった。
 96年、イギリス政府が人間にも感染することを認めたことでパニックにもなった。
 ヤコブ病との関連性も高く、イギリスで77人、フランスで2人が死亡している。

 日本での発生はないが、配合飼料用として肉骨粉が輸入されているため、侵入防止策として、当面は輸入禁止にすべきだとの声もあがっていた。

 カナダでは、食肉用などに飼育されている鹿が狂牛病と同じタイプの病気にかかっている危険性があるとして、約1500頭が処分された。感染経路は不明。
 カナダでは、牛肉の代用品として「ヘラジカ」が約5万頭飼育されている。また健康食品として鹿の角(つの)を粉状にしたものがアジア圏などでも売られている。

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全農、差益を農家に還元せずに所得隠し、地方の赤字経済連に資金援助の実態が国税局の調べでバレる。

 農家から販売委託された農産物の販売益などをめぐり、東京国税局から全農が昨年3月期までの3年間に約14億円の所得隠しを指摘されていたことが11月28日、分かった。

 全農は、経済活動を行なう農協の中央組織で正式名称は「全国農業協同組合連合会」。農協の組合員である農家から買い取った農産物の販売益を農家に還元することを原則に経済活動を行なっている組織だが、地方の経済連に資金援助するため、伝票を偽造するなどして仕入れを行なったように装い、架空取引を行なって販売益を経済連に回していたという。

 今回発覚したのは、加工食品向けの他用途利用米などを販売した際に発生した差益利用で、その差益は農家に還元するのが基本だが、約12億円を赤字が深刻化している地方の経済連に回していた。

 全農のこうした手口は過去にもとりざたされていたが、国税局は今回は見逃さず、仮装・隠ぺい行為を伴なう悪質な所得隠しで実質的には経済連に対する「交際費」に当たると認定した。

 全農はこれまでも、乳製品の架空取引による所得隠しで追徴課税されたり、他用途利用米の販売益を農家に還元せずに全農の広告費に流用するなど、多くの問題を起こしている。

 農協の組織維持や保身の姿勢がまたひとつ明るみにでたことで、農家の農協に対する不信は、一層深まりそうだ。(00・11/28)

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農水省、減反に従わない地域には政府米を売り戻すぞ、との強制措置?

 農水省は、減反に従わない地域には政府米を売り戻すぞ、との強制措置を講じる方針を決めた模様だ。

 食糧庁は米の価格安定化を図るための特例として、2000年産の政府米買い入れ分のうち、産地が自主的に来年度の減反面積を約5万ヘクタール上積みする見返りとして、特例で25万トンを買い入れた。しかし、2000年度の減反実施100%に至らなかった地域が15府県あった。そこで、この特例米分について、2001年産の減反面積が達成できなかった都道府県に対しては、減反の未達成面積に応じて、買い入れた政府米を売り戻す方針を決めた模様。

 相も変らない強制減反をさらに強固にする措置だが、政府がいったん買い入れた米を売り戻す方針を打ち出すのは初めてとなる。実際の売買契約時に条項として盛り込む予定。(00・11/20)

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WTO農業交渉の会合で、オーストラリアなどのケアンズグループが関税水準に上限を設けることを提案。

 WTO農業交渉の会合で11月16日、カナダやフィジーを除くオーストラリアなど16カ国のケアンズグループは、米・バター・豆類など300%〜500%の高い関税を設定している日本などを批判し、今後は、一定以上の高関税を廃止するよう関税水準に上限を設けることを提案した。
 また、緊急関税化措置として認められている特別セーフガードの廃止や最低輸入義務数量のミニマム・アクセス枠の拡大なども求める提案を行なった。

 輸出補助金を設定しない輸出国グループは、農産物も鉱工業品など他分野と同様の水準まで関税率を引き下げることを目標に交渉のテーブルについているが、高関税の壁でかろうじて農産物輸入を食い止めるという方法を取る日本にとっては、極めて厳しい提案内容になっている。

 また、東南アジア諸国連合も同日、高関税を廃止するように求める提案をした。

 現在、日本は輸入米には490%、輸入雑豆には460%などの高関税を課している。

 一方、国内では現在、輸入の増加などの影響で価格が下落している国内産野菜について、産地などから、緊急手段として一般セーフガード(特別セーフガードとは違い、発動には政府調査が必要)の発動を求める声が高まっている。(00・11・16)

※関税化に関するバックナンバー記事「日本の米輸入、関税化に移行

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条件付きで企業の農地取得を認めるなどの農地法改正。

 衆院本会議は11月9日、条件付きで株式会社の農地取得を認めるなどを柱とした「農地法改正案」を与党3党や民主党、自由党などの賛成多数で可決した。

 農地の転用を認めないなどの転用規制は、5年をめどに見直しも含めて検討するとした。(00・11・9)

※11月29日、改正農地法が自民・公明・保守・民主・自由などの賛成多数で可決、成立した。公布は12月上旬で施行は公布から半年後。

※農地法改正に関するこれまでの動向のバックナンバー記事

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来年度の米の減反面積、100万ヘクタール超え。

 農水省は11月1日、2001年度米の減反(生産調整)目標面積を現行の減反面積96万3000ヘクタールから4万7000ヘクタール拡大し、101万ヘクタールにすると発表した。
 全国的に減反面積が拡大するなかで、特に、北海道、東北、新潟など、東日本の米産地を中心に減反面積が拡大した。拡大分4万7000ヘクタールのうち、北海道が約1万2000ヘクタール増、秋田県が約4000ヘクタール増、ほか東北各県および新潟県が約2000ヘクタール増。

 主食米用の作付面積は全国で168万1000ヘクタールとし、全国平均収量(10アールあたりの収量518キロ)換算で生産量は870万トンを見込む。米の年間需給総量は農家消費分を入れて約900万トン強とされているが、米在庫がだぶついているため、これを約30万トン下回る計算だ。

 2000年度も米の生産調整面積を96万3000ヘクタールに設定して「米の減反」に努めたが、100%達成したものの米在庫は基本計画を60万トン上回る280万トンとなり、過剰感と米消費量の低迷などで、米の取引価格は下落の一途を辿った。農水省とすれば、早期に需給バランスをとるために、来年度も米の生産量を減らして在庫を200万トン以下にしたい方針だが、農業現場では「本年度もそうした方向で減反に応じたが、結果オーライにならなかった」「新食糧法で決めた作る自由はどうなった」との批判も強く、この減反政策をめぐっては、稲作農家から、失望やあきらめの声があがっている。

 100万ヘクタール超えの生産調整は、1970年から本格的に開始された「減反政策」のなかで最大規模の面積および取り組みになる。(00・11・1)

2000年産の水稲の作況指数は全国平均で104の「やや良」。予想収穫量は、10アール当たりで前年比1キロ増の537キロで、全国的にみれば前年比31万5000トン増の947万4000トンと見込まれている。

※関連記事:コラム&解説「米の減反政策」

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東北6県の農業粗生産額の落ち込みが鮮明に。

 東北農政局のまとめで、東北6県の1999(平成11)年の農業粗生産額は、米価下落が大きく影響したことから、1975(昭和50)年以降で最低だったことが分かった。

 1999年の農業粗生産額は1兆5339億円で、大冷害で米不足に見舞われた1992年の1兆5557億円よりもさらに200億円以上も落ち込んだ。

 内訳は、米が6365億円で前年に比べて1・0%減。畜産は3741億円で、これも前年比1・3%減。また、野菜は2491億円で前年比4・0%減だった。
 県別の粗生産額は、青森県が2776億円で前年比0・9%減、山形県が1434億円で同比3・9%減、宮城県が2243億円で2・7%減、秋田県が2155億円で3・5%減。岩手県が2928億円で前年比0・1%に微増、福島県も1803億円で1・1%の微増だった。
 助成金や共済金を加えた生産農業所得も、最低額を更新し、6県の生産農業所得は6163億円(前年比4・7%減)で、大冷害により農業共済金が多く支払われた1992年の8086億円よりも2000億円近く落ち込んだ。

 ちなみに農家1戸当たりの生産農業所得は、前年比3・4%減の115万9000円で、農家経営の厳しさが改めて浮き彫りになった。(00・10・25)

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アメリカでは全面回収、国内では未承認の遺伝子組み換えトウモロコシが市販されている食材から検出。

 アレルギーを引き起こす可能性があることから、今秋、アメリカで全面回収された遺伝子組み換えトウモロコシ「スターリンク」が、国内で市販されているトウロココシの粉(菓子やパン用の食材のコーンミール)から検出されたと、市民団体が発表した。
 日本では現在、食用としても飼料用としても未承認の品種で、厚生省も関心を寄せ、製品の分析を、国立医薬品食品衛生研究所に依頼する。

 この組み換えトウモロコシは、殺虫作用を持つ害虫に強いトウモロコシとしてアメリカのバイオ企業がつくりだした。しかし、「スターリンク」がもつ殺虫性のたんぱく質は消化器で分解されにくく、アレルギーを引き起こす可能性が極めて高いことが判明。急きょアメリカでは、農務省がこのトウモロコシを全農家から買い上げると表明し、同品種の栽培許可を取り消したばかり。

 市民団体「遺伝子組み換え食品いらない!キャンペーン」によると、都内のスーパーなどで買ったトウモロコシを原料とする加工食品6点を検査業者に委託して調べたところ、混入割合はわからないもののコーンミール1点からスターリンクを検出したという。

 同グループは、厚生省と農水省に回収や輸入禁止措置を取るよう文書で申し入れた。これを受けて厚生省は、アメリカ大使館に、日本に輸出されないよう何らかの措置を講じるように要請した。

 ちなみに商品回収については、食品衛生法の改定により、2001年4月から未承認の組み換え食品の流通が判明すると回収命令が出せるが、現在は、個別指導や要請にとどまる。販売会社はこの商品を自主回収する模様。

 飼料へのスターリンク混入の疑いがあるため、今年5月には同キャンペーンは、農水省へ確認調査の実施を申し入れていたが、輸入の許認可権を持つ農水省は「スターリンクは、日本で飼料用の申請が出されていない」というのを理由に、これまで一度も安全性を調べていない。しかし、今回の事例から、スターリンクが、輸入された飼料用トウモロコシにも混入した疑いがあるとして、農水省はやっと、スターリンクを家畜に与えた場合、食肉への影響があるかどうかを独自に調査する方針を決めた模様だ。(00・10・20)

その後、農水省が全国各地に入港した船や倉庫から遺伝子組み換えの飼料用トウモロコシを15サンプル採取して行なった検査で、サンプルの3分の2から、日本には輸入できない遺伝子組み換えトウモロコシ「スターリンク」が検出されていたことが明らかになった。
 農水省では、飼料用も輸出前に検査をして、混入を防ぐ手だてを取るようアメリカ政府に求めたが、実務検査の方法をめぐって協議が難航。その後12月18日、農水省側が検査官を派遣することで決着し、輸出前検査を実施することで一応合意に至った。

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