スポットニュース


欧州の禁輸続行を受け、天然ホルモン使用の牛肉、厚生省が安全性を本格調査。

 アメリカやカナダなどで肥育促進のために天然ホルモンが使われている輸入牛肉などについて、厚生省は、残留ホルモンによる健康影響を調べる研究班をつくり本格的な調査研究に乗り出した。

 EU(欧州連合)では、欧州委員会が一部の天然ホルモンに「発がん性がある」と指摘し、アメリカ産牛肉を禁輸しているが、日本は、1987年にFAO(国際食料農業機関)とWHO(世界保健機関)の合同会議で判断された「エストラジオール17ベータ、プロゲステロン、テストステロンの天然ホルモンは安全」との意見を受けて「安全性に問題なし」としていた。
 しかし、1999年5月にEUが「エストラジオール17ベータに発がん性がある」との報告書を公表し、禁輸続行の措置を決めたのをきっかけに、日本でも、「畜産品の輸入量が多いため摂取頻度が高く、摂取期間も長期に及ぶために、天然ホルモン剤の健康影響が必要」との声が出ていた。このため厚生省は、「年度内に当面の結果をまとめる」として、研究班をつくり独自に安全性を評価する方針を決めた。
(1999年)

●天然ホルモン剤 
 
牛などの体内にあるホルモンと同じ組成のものを人工合成したもので、エストラジオール17ベータは卵胞ホルモン、プロゲステロンは黄体ホルモン、テストステロンは雄性ホルモン。肥育促進が目的、つまり早く太らせるのが目的で、去勢雄牛には卵胞ホルモンと雄性ホルモンの配合剤が使われ、雌子牛には雄性ホルモン剤が使われるのが主。 人間に対しても、更年期障害の治療薬としても一部が使われている。

BACK


スポットニュース


遺伝子組み換えコーン、新たな危険が判明。

 北米を中心に栽培されている殺虫成分を作る細菌「Bt菌」の遺伝子を組み込んだトウモロコシ「Btコーン」に、新たな危険があることが、ニューヨーク大の研究グループによって判明した。

 害虫以外の生物には影響はなく、葉や花粉などに含まれる毒素で害虫が死ぬため、農薬を減らすことができるとされていたトウモロコシ「Btコーン」は、「益虫であるチョウにも有害」とアメリカの科学者が研究発表したのがきっかけで波紋が広がったが、今回は、殺虫性のたんぱく質毒素の遺伝子を組み込んだトウモロコシ「Btコーン」の根から、この殺虫成分が土壌に染み出して毒素が根近くの土壌に残留し、200日以上殺虫性を維持することから、広く生態系への影響が懸念されるという問題点を、ニューヨーク大の研究グループが12月2日発行のイギリスの科学誌『ネイチャー』で指摘した。
 人間や駆除対象以外の昆虫などにどのくらいの影響を与えるのかは不明。

 欧州委員会はすでに「遺伝子組み換え作物の葉を食べたチョウの幼虫が死亡した」などの事例が確認されたため、アメリカ「パイオニア・ハイブリッド・インタナショナル社」の遺伝子組み換えトウモロコシの輸入承認手続きを凍結している。また、オーストリアも、バイオ大手企業「モンサント」が開発した遺伝子組み換えトウモロコシのオーストリア国内での栽培を禁止し、スイスの薬品大手「ノバルティス」の遺伝子組み換えトウモロコシの輸入も禁止している。

 一方、日本の農水省は除草剤や害虫に対して耐性を持つ遺伝子組み換えトウモロコシ3品種(米モンサント社が開発した2品種とドイツのアグレボ社が開発した1品種のトウモロコシ)については輸入を承認しており、Btコーンについては、国内での栽培予定がなく、また生態系など周辺環境に影響を与える恐れもない、としている。(1999年)

BACK


スポットニュース


麦の民間流通、出だしまずまずの状況。

 これまで国が管理していた麦の流通が、1999年10月から民間流通に移行したが、移行後初の相対取引では97%の売買が成立し、まずまずの滑り出しになった。

 麦の民間流通協議会のまとめによると、販売希望数量51万6000トンに対し取引数量は50万4000トン。1万2000トンが売れ残ったが、人気の高い北海道産は26万6000トンと、ほぼ全量取引された。品種はメインの「ホクシン」のほか、「ハルユタカ」「ホロシリコムギ」。また、埼玉県産や群馬県産、三重県産の「農林61号」も3万2600トン全量取引された。滋賀県産は7100トンで2700トン売れ残った。福岡県産や佐賀県産の「チクイズミ」も2万800トン全量取引された。

 小粒大麦は99%の1万8700トン、大粒大麦は90%の3万1000トン、裸麦は94%の1万トンが取引された。

BACK


スポットニュース


農水省、これまで続けてきた水稲の作況指数調査と発表方法の見直しを決める。

 農水省は、これまで続けてきた水稲の作況指数調査と発表方法を見直し、時代に即した方法を検討することを決めた。有識者ら9人からなる「水稲収穫量調査に関する研究会」を作り、1999年11月下旬から検討に入る。

 作況指数は、食糧事務所が統計として米粒の成熟具合などを調べ、毎年8、9、10、12月(各15日現在)の作況指数を発表しており、1955年ごろから現在の形に定着した。ところが、現在の作況指数の調査や発表方法は、数字としては大きなブレはないものの、実際の生産現場の実感や実態、流通ニーズからは「問題点も多い」と指摘され続けてきた。
 政府が米を全量買い上げていた時代とは違い、自主流通米が価格形成の主流になって以降、特に1994年12月成立した新食糧法後、作況指数も市場価格を形成する大きな要素になっていることから、「より細かな産地品種銘柄別の調査と敏速な発表を」という要望も強まっていた。
 そこで今後、研究会で意見交換をし、これからの作況指数の調査や発表方法を検討する。

 しかし、この動きの背景には、今年産の自主流通米価格の下落で、選挙を前に「農業票」に依存する自民党農林部会とすれば、農業者から「何とかしろ」と言われかねないことから、その選挙対策として短絡的に「作況指数が価格の下落を誘発しているので発表方法を見直すべきだ」との意見が強まり、「指数を幅を持たせて発表する」「数字ではなく言葉で表現する」などを農水省に「指数発表を見直す案」として強引に提示した、という経緯もあることから、早くも米穀業者からは「あまりにも露骨な変更が行なわれた場合、米市場をこれまで以上にゆがめることにもなりかねない」との批判の声も出ている模様。

BACK


スポットニュース


農業総産出額、統計開始以来初めて野菜が米を抜きトップに。

 農水省が1999年11月1日に発表した「1998年の農業総産出額と生産農業所得(概算)」によると、農業総産出額のトップが、1955年に統計を取りはじめて以来、初めて野菜が米を抜いた。

 総産出額は9兆9441億円で、そのうち野菜は26・3%の2兆6152億円(前年比13・3%増)、米は25・6%の2兆5456億円(前年比8・4%減)、続いて畜産の24・4%で2兆4263億円(前年比5・7%減)、果実の9%で8949億円(前年比11・6%増)となり、流通の世界でもいわれている「野菜・果実好調、米麦・畜産不振」を裏付ける統計結果になった。

 生産農業所得は4兆501億円で1997年度より2・2%増えた。

BACK


スポットニュース


「農業環境関連3法」が可決、成立。

 家畜ふん尿処理の規制や有機農業の支援などを盛り込んだ「農業環境関連3法」が99年7月22日の衆院本会議で全会一致で可決、成立した。
 「家畜排せつ物の管理の適正化及び利用の促進に関する法律」は、ふん尿による地下水汚染などを防ぐ目的で、ふん尿処理施設の基準を設け、素掘りの穴への投棄や野積みを禁止する。処理施設を整備する畜産農家への金融支援も設けた。11月施行の予定。
 「持続性の高い農業生産方式の導入の促進に関する法律」は、農家が化学肥料や農薬の使用をやめたり、抑えたりして営農する計画を作り、都道府県知事が認定すると、金融支援を受けられる仕組みを定めた。年内施行の予定。
 「改正肥料取締法」は、たい肥の流通促進を図るため、品質表示制度を導入する。来年10月施行の予定。

BACK


スポットニュース


ダイオキシンが検出された除草剤、回収後も2400トンを屋外保管。

 三井化学が製造・販売を中止した水田用の除草剤「クロルニトロフェン(CNP)」から毒性の高いダイオキシンが検出された問題で99年7月12日、同社は、回収したCNPは、全量が福岡県大牟田市の大牟田工場に保管されていることを発表、その一部はつい最近まで屋外にビニールシートをかけて保管されていたことを認めた。
 また、CNPがまだ農家に保管されている可能性があるため、農水省の指示で全国の流通ルートを通じて、再度回収作業に入ることも明らかにした。

 自主回収が始まった94年に出荷されたCNPは7150トン。回収された約5800トンを差し引くと、出荷量の約2割に当たる1300トン余りが未回収となっている。
 回収したCNPについては、大牟田工場で保管するという。

 大牟田工場に現在保管されているCNPは、未出荷製品などを含めて約8200トン。94年の製造中止以来、回収された製品は約5700トンあったが、このうち約2400トンが7月8日まで屋外で保管されていた。ところが、一部報道で「今も屋外保管」が報じられた直後、すべて倉庫に移された。

 同社は屋外保管について「回収CNPを段ボール箱に入れて屋外に積んでいたが、保管については法の規制はない」「荷物の下はアスファルト舗装し、水がかからないように台を置いていたし、防水用のビニールシートをかけていたため問題はない」「安全性についても、定期的に水質検査して異常なかった」としている。

除草剤CNP
 主に水田の初期除草剤として、全国で広く使用された農薬。93年、新潟平野で住民に多発する「胆道がん」との関連を研究者グループが指摘。農水省は農薬取締法上の登録取り消しなどの措置をとらず、94年に原則的に使用しないよう都道府県に通知するだけにとどめた。この際、三井化学は自主的に製造中止、回収に踏み切ったが、その後の追跡調査は実施されていない。

 また、横浜国立大の研究者が昨年4月、北関東の農家で倉庫に残っていた古いCNPを分析した結果、同社と農水省が公表した含有量(1グラム当たり、0・17〜62ナノ・グラム)の約100倍に相当する7000ナノ・グラム(ナノは10億分の1)という極めて高い濃度のダイオキシン類を検出している。

 同社は処理方法として、化学処理、微生物による分解、ガラス固化、焼却処理などを検討してきたが、現在のところ、安全な処理方法は見つかっていない。

BACK


スポットニュース


農業を基盤にする思想実践集団「ヤマギシ会」、設置計画中の学校法人申請を取り下げる。

 「児童虐待疑惑」が日本弁護士連合会などから指摘されている農業を基盤にする思想実践集団「幸福会ヤマギシ会」(本部:三重県伊賀町)は、同会が計画し、三重県に提出、受理されていた学校法人の設立申請と学校設置申請を99年6月28日、取り下げることを決めた。
 申請に関しては、県私立学校審議会で「不認可」の決定が出される可能性が高いとみられていた。そのため同会では、「不認可の結論が出されると再提出するのは難しい。これまでの状況を整理しなおしてから再申請した方が得策」という判断が働き、いったん申請を取り下げる方針にした模様。

 ヤマギシ会は1953年、養鶏家の山岸巳代蔵氏(故人)が京都で創設。「お金もいらず仲良く楽しい村」を旗印に掲げて入植者を募り、生活共同体を全国39カ所に設置し、農業を基盤にする思想実践集団として増殖していった。
 その生活共同体の中に1986年、ヤマギシ会の教育部門としてヤマギシズム学園を設置。全寮制の私塾に約2500人の学園生を抱えた。

 今回の申請は、それを「農業や農作業を中心にした体験学習を軸に教育を行なう学校」という位置付けで拡大し、学校法人の設立認可を求めたもので、同県芸濃町で2000年4月にまずは小中学校を開校する計画だった。
 しかし、同会の取り組みを疑問視するグループなどが、同会が運営する私塾「ヤマギシズム学園」での児童虐待疑惑を指摘する他、日弁連なども独自の調査を進め、人権侵害行為を直ちにやめるよう勧告していた。
 ヤマギシ会本体は、児童虐待疑惑を全面的に否定していたが、1998年11月、三重県も独自調査を実施。県内のヤマギシ会の子ども約400人を対象にしたアンケート調査では、約8割が「たたかれたり、殴られたり、虐待を受けたことがある」と回答していた。
 県私学審も慎重審議として吟味。6月30日に答申内容を決定する予定だったが、審議会では「ヤマギシ会には改善の意志や考えが感じられない」など、学校法人認可に対しては否定的な見解が多く出ていた。

BACK


スポットニュース


農水省、遺伝子組み換えトウモロコシの安全性見直し作業を決める。

 遺伝子組み換えトウモロコシの生態系への影響が指摘させている中、「特に問題なし」としていた農水省は、世界的に「毒性」が指摘され始めたことから、やっと見直し作業をすすめることを決めた。

 既にオーストリアは99年5月27日、バイオ大手企業「モンサント」が開発した遺伝子組み換えトウモロコシのオーストリア国内での栽培を禁止すると発表。同国は、スイスの薬品大手「ノバルティス」の遺伝子組み換えトウモロコシの輸入も禁止している。

 また、欧州委員会も「遺伝子組み換え作物の葉を食べたチョウの幼虫が死亡した」などの事例が確認されたため、アメリカ「パイオニア・ハイブリッド・インタナショナル社」の遺伝子組み換えトウモロコシの輸入承認手続きを凍結している。

 一方、日本は、いつもの事ではあるものの「問題はない」という基本姿勢が弊害になって対応は遅れ気味だった。しかし、「安全性に疑問がある」という世界の認識には勝てず、現行での安全性確認の審査内容を見直す方向で検討に入った。まだ、検討に入ったという段階で、至って呑気だが、否応なく農水省は何らかの対応を迫られることになった。

 問題となっているのは、殺虫成分を作る細菌「Bt菌」の遺伝子を組み込んだトウモロコシ「Btコーン」。葉や花粉などに含まれる毒素で害虫が死ぬため、農薬を減らすことができるとして、北米を中心に栽培されている。毒素は、トウモロコシを食べるガなどの害虫には効果があるが、害虫以外の生物には影響はないとされていた。しかし、「害虫対策として開発された遺伝子組み換えトウモロコシの花粉は益虫であるチョウにも有害」と米国の科学者が研究発表したのがきっかけで波紋が広がった。
 農水省は「チョウはトウモロコシを食べないから問題ない」としていたが、食品の安全性や生態系への影響を懸念する声が世界的に広がりつつある。

 しあしながら農水省は除草剤や害虫に対して耐性を持つ遺伝子組み換えトウモロコシ3品種については「国内での栽培予定がなく生態系など周辺環境に影響を与える恐れもない」として輸入を承認。米モンサント社が開発した2品種とドイツのアグレボ社が開発した1品種のトウモロコシ。
 このうちアグレボ社については、トウモロコシの花粉からも害虫を殺す毒素タンパクが検出されている。このため農水省は、花粉に毒素タンパクが含まれた遺伝子組み換え作物については、新たな基準を作るまで国内での栽培凍結を決めている。

BACK


スポットニュース


ベルギー、食肉などのダイオキシン汚染騒動の次はコカ・コーラの有害物質汚染騒動。 

 ダイオキシンに汚染された肉類や卵などが販売禁止となり物議をかもしているベルギーで、今度はコカ・コーラ騒動が発生している。
 ベルギー政府は99年6月14日、清涼飲料メーカー最大手の米コカ・コーラ社製のコカ・コーラを飲んだ子供たちが気分が悪くなって入院する事例が増えているため、コカ・コーラ社製のすべての清涼飲料の販売禁止を決めた。また欧州諸国も回収や販売自粛を呼びかけるなど、波紋を広げている。

 ベルギーでコカ・コーラ製飲料を飲んだ生徒が吐き気を訴えて入院するという事例が多発したため、ベルギーのリュック・ファンデンボシェ保健相が、コカ・コーラ、ファンタ、スプライト、アクエリアスなどの同社製飲料を同国内の店頭から直ちに撤去するよう指示し、同製品を飲まないよう国民に訴えたというもので、販売禁止措置は、コカ・コーラが明確な原因を示すまで続けるという。
 これに対してコカ・コーラのベルギー支社は先週、問題の商品を出荷したベルギー北部の2工場とフランスの1工場は生産をやめ、コカ・コーラ約250万本をリコール(自主回収)した。

 問題は今のところベルギーだけに限定されている模様だが、コカ・コーラ社では「具合が悪くなった人々は缶の外側で腐ったようなにおいを訴えている。頭痛や吐き気、胃けいれんなどの症状につながり得る品質面での問題がいくつかの瓶や缶にあった可能性が高い」として原因を調査。コカ・コーラ現地法人は「アントワープ工場で4月下旬に使った二酸化炭素の品質が悪かった」「フランス・ダンケルク工場で缶コーラの出荷・輸送時に使うパレットに問題があり、パレット表面に塗った殺菌剤が缶の底に付いた」「その結果、健康被害が起きた」などと発表した。しかし、問題の二酸化炭素の製造業者やそれが使われたコーラ以外の商品名、生産量などについては発表しておらず、二酸化炭素の何が問題なのかも答えていない。

 問題のコカ・コーラ社製品は、缶入りと瓶入りの両方で異常が起きており、生徒を治療した病院からは、赤血球の破壊による貧血症状が報告されているという。

BACK


スポットニュース


農協、他県産リンゴを「江刺産ふじ」と偽って市場出荷。

 岩手県の江刺市農協が98年12月、他県産リンゴを「江刺産ふじ」と偽って首都圏や仙台市の市場に出荷していたことが、99年6月3日までに分かった。

 市場評価の高い「江刺産ふじ」は昨年、天候不順で平年を2割下回る80トン程度しか収穫できなかったため、首都圏や関西の市場から集めてきた青森産や長野産の「ふじ」約30トンを同農協の園芸センターで江刺リンゴの箱に詰め替え、「江刺産ふじ」として再出荷した。卸値で10キロ当たり4000円前後のふじが「江刺産ふじ」に化けて4600円程度で取引された。
 しかし、昨年暮れまでに、毎年食べている消費者などから「江刺リンゴの味がおかしい」などの苦情が農協に寄せられると共に、園芸センターの臨時職員の間からも不正を指摘する声が上がったことから、内部調査を実施。その結果、出荷数量達成に焦った職員が、農協リンゴ部会の幹部らと相談の上で卸売り業者に不正話を持ちかけたことが分かり、4月の理事会で不正の事実が報告された。

 それによると、江刺リンゴは、98年9月の台風や長雨の影響で熟期が遅れていたことに加え、冬にかけて低温に見舞われたため凍結果となり、贈答用の相対契約の数量不足が決定的になった。相対契約の納期が迫っていた12月、リンゴ販売担当者が卸売業者に事情を説明したが「5800ケースは確保してほしい」と言われたため、相対契約先に迷惑をかけてはならないとの配慮が優先。江刺産の在庫で確保できるのが2500ケース程度だったことから、リンゴ販売担当者が「不足分は他県産で補う」旨を上司に電話連絡して不足分を他県産で補うことを決めた。担当者は東京の青果会社に発注し、届いた長野産511ケースでは足りなかったため、大阪の青果会社にも発注し、青森産を2770ケース購入した。それを園芸センターで江刺リンゴの箱に詰め替え、宮城県と岩手県に出荷した、というもの。

 その際、偽「江刺リンゴ」を出荷して得た差益は、年度末決算で農協の正規収入にちゃっかり繰り入れられたという。

 最近では「黒豚」でもない豚肉に黒豚表示したり「魚沼産」でもないお米に「新潟県魚沼産こしひかり」表示して販売するという流通・小売の姿勢があるため「表示そのものの情報が信用できない」という声が圧倒的多数を占めている。そうした状況の中で、出荷産地までもが偽モノを市場に出すという今回の事件は、消費者にさらに大きな不信感を植え付けたようだ。

BACK


スポットニュース


ベルギー産の鶏肉や鶏卵のダイオキシン汚染、波紋が広がる。

 ベルギーで生産された鶏肉、鶏卵の一部から発がん性の高い高濃度のダイオキシンが検出され、ベルギー政府は、鶏肉と鶏卵の販売を禁止したが、さらに、鶏肉、鶏卵を使用した製品の販売も全面的に禁止した。

 また、閣僚が汚染の事実を1カ月も伏せていたことが分かり、ピンクステン農相、コラ保健相の二閣僚が引責辞任した。

 同国保健省などの調査によると、ダイオキシンに汚染されていることが分かったのは99年4月。詳しい汚染濃度は明らかにされていないが、鶏肉の脂身1グラム当たり最大700ピコグラム(1ピコは1兆分の1)のダイオキシンが検出された。今回のダイオキシン汚染は、ダイオキシンを含む油が家畜飼料に混入したことから全域に拡大。これに対し、欧州連合(EU)も汚染されたベルギー産鶏卵、鶏肉の処分を決定するなど、欧州でも波紋を広げている。
 汚染源はベルギーの動物性油脂会社「フェルケスト社」で、ダイオキシンを含む機械油が飼料用油脂に混入した。そしてその油脂は、ベルギーのみならずフランスやオランダの飼料会社12社に渡り、家畜飼料に使われて、家畜から畜産物へ、畜産物から加工品へとダイオキシン汚染が広がった。
 さらに国際貿易で汚染商品は、国境や海を越えて瞬く間に世界に渡った。

 日本にはベルギーで生産された鶏肉、鶏卵の輸入はないが、乾燥卵白や乾燥卵黄は一部輸入されているため、厚生省が全国13カ所にある検疫所に対して、ベルギーからのクッキーやビスケットなど加工卵製品や鶏肉の輸入の届け出があった場合は、問題のあるものかどうか調査、ダイオキシン汚染が疑われる場合は、貨物を保留した上で検査データの提出を求めるなどするよう指示、情報収集に乗り出した。
 また、オランダやフランスからの鶏肉、鶏卵、豚肉についての輸入手続きを中止するよう指示すると共にベルギー・フランス両国産の牛肉、牛乳とチーズなど牛乳加工品についても、輸入手続きを保留する措置をとったうえで、業者に対し、99年1月15日以降の輸入分の販売自粛を要請した。

 また農水省は、汚染源の飼料について、最近の輸入実績は輸入飼料全体で年間約2700万トンのうちオランダ産は98年419トン、99年は現時点で48トンが 輸入され、少量ながらも配合飼料の原料として使われている可能性もあることから、ベルギー、オランダ、フランス産の動物性油脂を含む飼料を安全性が確認されるまで使わないよう、飼料メーカーや団体などに指示をした。

BACK


スポットニュース


大手商社すべてが米穀卸売業の登録を済ます。

 98年12月に米の卸売や小売の兼業規制が撤廃され、また4月には米の関税化に移行したことを受けて、大手商社の三菱商事と住友商事などが東京都に提出していた米穀卸売業の登録を受理したことを、東京都は99年6月1日、明らかにした。

 新食糧法に移行して以後、商社の米卸業への参入が続いていたが、これで、先に登録を済ませていた丸紅などに加えて三菱商事と住友商事が新規参入したことで、大手商社すべてが米の卸売業に参入することになった。またJR東日本も登録、米卸業に新規参入した。

 現在、米卸の世界では、既に中国やベトナムなどで精米工場を確保するなど、商社や大手米卸の先行投資も活発だ。
 例えば伊藤忠、三井物産、トーメン、ニチメン、木徳などは中国現地法人との業務合併による精米会社設立を済ませており、契約栽培による稲作指導も現在進行形。これに三菱商事と住友商事が正式に加わったことで、米流通は本格的な競争社会、国際取引の時代に突入した。
【関連記事は「ハイライト」の「日本の米輸入、関税化に移行」にもあります】

BACK


スポットニュース


有機塩素系農薬に汚染された土壌の無害化に成功

 人体に悪影響を及ぼす有機塩素系農薬のDDT(ジクロロジフェニルトリクロロエタン)に汚染された土壌に、不要になったシイタケの菌床を粉砕して交ぜ、加圧・加熱することで土壌を無害化、固形化することに、高知大教育学部の蒲生啓司助教授(分離化学)が成功した。同じ有機塩素系化合物で、猛毒のダイオキシン類やPCB(ポリ塩化ビフェニール)などにも応用できれば、汚染土壌の処理方法の一つとして注目される。

 シイタケの菌糸には、難分解性の有機塩素系化合物を分解する働きがあることが最近の研究で明らかになっているが、分解できる濃度に限界があり、しかも相当な日数を要するなどの欠点があった。
 「水熱ホットプレス法」と呼ばれる水分を含む物質を加熱・加圧して化学反応させる手法で、菌糸による分解を加速させることを試みた結果、わずか20時間で分解率が85%程度に達した。時間をかけるとさらに分解が進み、無害化した。
【詳細記事は「チョット注目な話題&ニュース」にあります】

BACK