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■ディーゼル車規制策を盛り込んだ東京都の公害防止条例改正案が12月15日、都議会本会議で全会一致で可決、成立した。
 東京都の公害防止条例が全面改正されるのは30年ぶりで、ディーゼル車規制のほか、冷媒用フロンの排出禁止、小型焼却炉の原則使用禁止、有害化学物質の管理や土壌汚染対策の義務化なども盛り込み、名称も「環境確保条例」と改めた。

 2001年4月から施行されるが、トラックとバスを対象としたディーゼル車規制の実施は2年半の猶予期間を置いた2003年10月。重油などを混ぜた不正軽油のディーゼル燃料は、条例施行と同時に使用も販売も禁止される。

 ディーゼル排ガスに含まれる粒子状物質については、都独自の排出基準を設け、基準を超えるディーゼル車は排ガス浄化装置(DPF)をつけない限り、都内を走ることができなくなる。
 アイドリング・ストップを義務化するほか、営業用自動車を200台以上保有する企業に対しては、2005年度から5%以上の車両を天然ガス車などの低公害車に転換することを義務付けた。

 物流拠点で実施されるこの規制に対し、運送業界から「低公害車やDPFは高価で負担が大きい」と強い反発の声があがっているため、都議会は条例案の可決に際し、事業者への助成策などを都に要請する付帯決議を付けた。
 しかし、全国の運送業者に影響を及ぼすことが必至となったため、全日本トラック協会は同日、「本条例改正案には多くの問題点を含んでいる。にもかかわらず無修正のまま可決成立したことは、誠に残念だ」とする見解を発表した。

 現時点での規制対象車両は、都内ナンバー車が約65万台、都外ナンバー車が1日当たりの推計運行台数で約24万台。

 東京都は、「交通需要マネジメント(TDM)」の行動プランを策定し、都心部に入る車から料金を徴収する「ロードプライシング」制度も導入する予定。

 都心部の車の総量を減らすことで、大気汚染や渋滞の緩和を目指す。システムは、首都高速道路などで整備が進んでいる「ノンストップ自動料金収受システム(ETC)」を利用する。
 料金を課す地域の入り口にゲートを設置し、ゲート側の機器と車に載せた機器が電波で交信し、通過した車から料金をとる。料金は未定だが、収入は設備の維持管理費を除き、都市交通の整備や環境対策など、特定の使途に限る、としている。
 都独自の条例をつくり、早ければ2003年度からの実施を目指していくことにしている。

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■1998年から、チェルノブイリ原発事故の被災者救済を目的に、小児白血病患者の骨髄移植を中心にベラルーシ共和国への支援を実施してきた長野県松本市の信州大付属病院は、同国ゴメリ州立病院との間を衛星回線で結び、患者の内臓の超音波画像を動画で受信する実験に成功した。

 超音波画像は、移植後に起こりやすい静脈閉そく症などの診断に不可欠なことから、信州大付属病院は、実験で成功した機材で実際に診断を行ない、今後、遠隔医療の有力な手段として確立していきたいとの意向を示している。

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■東京電力は相次いで手動停止した福島原発について8月2日、第1原発6号機については、地震の揺れによる配管の破断が原因とほぼ断定した。調べによると、熱疲労が進んでいた配管が、低サイクル疲労と呼ばれる金属疲労で弱り、地震の揺れで破断し、外部の空気が流れ込んで配管内の排ガス気体流量が増加したと見られており、破断面は腐食していた。
 同様の配管は、福島第1原発2号機にも設置されており、東電は、6号機とともに取り外す方向で検討している、という。7月21日の茨城県沖を震源とした地震当時、発電所内の震度計は震度4を記録していた。

 通産省などによると、破断した細管は外径が34ミリで、蒸気が通過する配管の安全弁にとりつけられている。原子炉を起動して配管に蒸気が通過する度に熱で配管が膨張、細管が引っ張られ、数10回繰り返される低サイクル疲労で劣化し、弱っていた細管に地震の揺れが加わり破断したという。
 また、他の5台の弁について同様の配管の接合部を調べたところ、割れ目までは生じていなかったが、同様の熱によるとみられる劣化が見つかった。

 福島原発では、双葉町の第1原発6号機(出力110万キロワット沸騰水型)が7月21日、大熊町の第1原発2号機(出力78万4000キロワット沸騰水型)が7月23日、福島県富岡町の福島第2原発4号機(出力110万キロワット沸騰水型)が7月25日、相次いで手動停止した。
 原発3基が同時に計画外で停止したのは10年ぶりで3回目。茨城県沖を震源として発生した地震による影響との見方が大方をしめ、地元では「地震との関連はないのか? 何の心配もないはずの震度4でのトラブルは、原発の老朽化にも起因するのではないのか?」など、不安の声がでていた。
 原発は本来、関東大震災の1・5倍相当の地震にも耐えられる、とされているが、今回のトラブルは、震度「4」の地震の後に相次いで起こった。

 他の2基についても地震の揺れが何らかの形で影響を及ぼしたものとみられることから、「地震にも大丈夫」という原発の安全神話は、今回のトラブルで改めて疑問視されることとなった。

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■東京都文京区にある東京大学医学部の法医学、病理学の2教室が、解剖した遺体の保存などに使った劇物のホルマリンをそのまま下水道に垂れ流していたことがわかり、東京都衛生局は「処理方法に問題がある」として7月11日、立ち入り検査を行なった。排出量は少なくても年間約5トンに達すると見られ、30年も垂れ流していた。法医学教室は汚染血液の一部も垂れ流していたという。

 ホルマリンは、ホルムアルデヒドを35%程度に薄めた水溶液で毒劇物取締法では「劇物」に該当する。処理方法は、厚生省通知で「水酸化ナトリウム水溶液などでアルカリ化した後、多量の水を加えるか、もしくは焼却炉に噴霧して焼却する」などの基準があるが、大学側はごく最近まで、これを知らなかったという。規定された処理をしないまま下水道に流し続けると不法投棄だが、使用後の溶液は厳密には製剤とはみなされないことから、この法律の規制からは外れる。
 しかし、東京都衛生局は「使用後の溶液は製剤とはみなされないとはいえ、廃棄された溶液は、実質的には劇物と同じで、毒劇物取締法に準じた処理をしてもらうよう行政指導する」としている。

 医学部は施設の改善を同大本部に求めてきたが、予算がつかず、未処理のままの排水を続けていた。同大は近く、貯留槽を設置するなどの暫定措置を取るという。
 東大の環境安全研究センターでは、毎年10月に敷地内の約10カ所で約30項目について水質検査を実施しており、これまでの検査結果では「指標となる生物化学的酸素要求量とヨウ素消費量はいずれも、都の排出許容基準値を下回っており、人体に影響がある数値は出ていない」としているが、東大法医学教室の担当教授は「危険性は認識しており、水と一緒にして流していた。今後は下水道に流さずに処理する」と謝罪した。

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■埼玉県内の2社が2工場で生産した3銘柄のソーセージやハムから病原性大腸菌O―157が検出されたとして、県が商品の回収を命じた問題は、実際にはこれらの商品はO―157に汚染されておらず、埼玉県川越保健所の検査ミスだったことが判明。県側が陳謝すると共に回収命令を撤回した。

 食品衛生法に基づき県川越保健所が行なった定期検査でO―157が検出されたとして6月20日付で県が商品の回収を命じたのは、6月10日から13日ごろに生産された同県川島町の「トーチクハム」埼玉工場の「ポークソーセージ・GRAND」約150個と「ロースハム・トップバリュ」約2500個、同県狭山市の「セントラルフーズ」狭山工場の「荒挽ウインナー・ローゼンハイム」約450個の計約3100個。

 しかし、約2000個程度がすでに販売されていたにもかかわらず、食中毒などのトラブルや報告がなかったため不審に思った2社は、「1回の検査だけでは納得できない」として、6月20日午後、抜き取り食品の再検査を申し入れた。しかし、県川越保健所は2社から検査結果の不審点を指摘されたにもかかわらず、再検査をせずに回収命令に踏み切った。

 両工場とも厚生省から「総合衛生管理製造過程の食中毒防止策」でもあるHACCPの認定を受けており、また、ハムやソーセージは高温で加熱殺菌されるため、菌が混入する恐れが極めて少ない食品とされることから、厚生省も同県の検査結果を疑問視し、回収命令後の21日、両工場を立ち入り調査した。しかし、抜き取り検査当日の加熱殺菌は正常で、衛生上の問題は見当たらなかった。
 2社は回収命令後も県に対して再検査の要請を続け、23日に通知された再検査結果で、菌が検出されていないことがわかった。

 このことから県は「当初の検査に誤りがあった可能性が高い」として、県衛生研究所で3銘柄から検出された菌のDNAパターンを分析したところ、パターンが一致。別の場所で汚染されたO―157のDNAパターンが3銘柄で一致することはありえないことから、埼玉県健康福祉部は6月29日、「保健所が検査用に使った菌が検査段階で製品に誤って付着した」「汚染された1銘柄の菌が検査段階で他の銘柄に付着した」のいずれかとみて、国立感染症研究所に依頼してさらに詳細を分析。その結果、O―157のDNAパターンは同保健所が検査用に保管している「標準菌」のものであることが確認された。

 3製品とも汚染されておらず、検査段階のミスによって標準菌が混入した「検査汚染」だったことが分かったが、回収命令により、トーチクハムは生産ラインを止めてパート従業員のほとんど(約150人)を自宅待機とするなど、両社とも一部製品の生産を自粛、中元用贈答品の大口取引先からのキャンセルなどで、深刻な影響を受けた。両社の損害額は、回収費用を含めて2億円以上にのぼるとみられている。

 検査ミスが判明したことにより県に責任が生じることになるが、両社は「県のミスとして済ますにはあまりにもダメージが大きすぎるので、法的手段も考えたい」としている。

 また、ロースハムを自社ブランドとして販売していた大手スーパー「ジャスコ」は、トーチクハム埼玉工場製造のすべての商品を製造日にかかわらず回収対象とし、約3万4000個の回収に追い込まれた。このためジャスコは、埼玉県に対し「ブランドの信用と店の名誉を傷つけられた」として、失われる利益分と回収などにかかった経費負担、製品を食べて不安を訴えた購入者の検査費用などを合わせ100億円以上の損害賠償請求を行なうことを表明した。

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■ディーゼル車の排ガスや工場ばい煙などに含まれ、呼吸器疾患の原因と指摘されている浮遊粒子状物質(SPM)の環境基準が全国最低の埼玉県は、2005年度末までに県内の全測定地点で環境基準を100%達成させる方針を決めた。

 東京都の取り組みに呼応して、近く専門家らによる諮問機関を発足させ、ディーゼル車の粉じん除去装置(DPF)の装着義務付けや、工場ばい煙の排出規制強化などの具体策を検討し、条例化を目指す。

 1998年度のSPM調査では、埼玉県内の72地点で環境基準(大気1立方メートル当たり0・1ミリグラム以下)を満たしたのはわずか2地点で、県別では全国平均62・6%をはるかに下回り、全国最低の達成率で2・8%だった。同県内では特に通過車両が多い国道17号の大宮市三橋5丁目交差点は自動車排ガス測定値が全国一最悪。加えて東京都や神奈川県から排ガスや工場ばい煙が風で運ばれる位置にあることから、SPMが多い。
 埼玉県では今後、県内で登録されている約54万台のディーゼル車へのフィルターの装着義務づけや、SPMの発生源となる工場の焼却炉やボイラー、家庭用小型焼却炉などについても規制を検討するほか、軽油の燃料成分の改善や、低公害車の普及なども進めたい意向だ。

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■新潟県議の旅費をめぐり、1997年8月に大阪府で開かれた全国都道府県議の軟式野球大会に公費で参加したのは違法、として新潟市民オンブズマンのメンバー7人が県議29人を相手取り、計約255万円の出張旅費の返還を求めていた住民訴訟の控訴審判決が4月26日、東京高裁であった。
 東京高裁は請求を棄却した一審の新潟地裁判決を取り消し、「大会への議員派遣は、議会機能を果たすために合理的な必要性があると認めるのは困難。派遣目的などに照らすと、著しく妥当性を欠き、議会の裁量権を逸脱しており違法」として、県議に旅費や日当として支給された約255万円の返還を命じる逆転判決を言い渡した。

 国体協賛行事として毎年開催されるこの野球大会をめぐっては、全国市民オンブズマン連絡会議のメンバーらが、北海道、秋田、山形、福島、大阪、徳島の各地でも訴訟を起こしているが、これまでオンブズマン側は「大会参加は私的なレクリエーションで、限定もなく議員や議会の広い裁量権を認めれば公費の乱用に歯止めがかからない」と主張、県議側は「国体を盛り上げ、スポーツ振興にも有意義であるばかりか、ほかの議員と情報や意見の交換ができることから、議会活動の一環として必要」と反論。
 昨年6月の一審での新潟地裁判決では「野球大会は公的な側面があり、これへの参加は、ほかの議員と交流できる貴重な機会」として、公務性を認める判断を示していた。

 しかし、今回の東京高裁で裁判長は、野球大会の意義については「国体やスポーツの意義が広く浸透した今日、議員が野球大会を開くこととスポーツ振興との関連性は希薄」と指摘すると共に、「県議同士の交流はわざわざ旅費を費やさなくてもできる。野球大会で他県議員との交流の機会は設けられておらず、レクリエーションの域を出るものではなく、公務性はない」と判断。
 また、議会の裁量権については「尊重されなければならないが、おのずから限界がある。公務としての派遣では、その目的、態様などが著しく妥当性を欠くときは違法となる」との判断を示した。このことから、この判決は今後、野球大会のみならず、都道府県議会における議員活動のあり方にも広く影響を与えることになりそうだ。

●広島県と大阪府で1996年と97年に開かれた全国都道府県議の軟式野球大会に公費で参加したのは違法として、秋田県内の市民団体が県議20人に旅費などの返還などを求めた訴訟の判決が4月28日、秋田地裁であり、裁判長は「野球大会はレクリエーションにすぎない」として、県議野球大会の公務性を否定し、県議に日当など約323万円を県に返還するようよう命じた。

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■東京都議会は3月30日、金融機関に対する法人事業税に「外形標準課税」を導入する条例案を、本会議で122対1の圧倒的多数で可決、4月1日から施行された。

 これに対し、大手16行が都を相手取って行政訴訟を起こす方針を決めており、論争はさらに続く。

 「外形標準課税」とは、最終的な利益ではなく事業規模に応じて課税するというもので、業務粗利益の原則2〜3%を徴税する。2005年3月までの5年間に限り、資金残高が5兆円以上の大手金融機関に適用し、本店の所在地にかかわらず、都内に支店があれば課税する。都では、初年度で1行あたり数億円から100億円超の納税額を試算し、30行程度で年間1100億円の増収を見込んでいる。

 都が外形標準課税の対象を銀行業とした理由の一つには、現在の法人事業税の課税方法では法人の利益に課税するため景気動向に左右されやすく、赤字になると納税を免れるという問題や税収のぶれの大きさがある。特に大手銀行には、不良債権処理という大義名分があるため現在の納税額は極めて少ない。近年、日本銀行を含む20行が都に納めた法人事業税は、ピーク時の1989年度に約2100億円あったものが99年度には34億円まで落ち込んでいる。だから都では、外形標準課税にして、税収の安定化に結び付けたい意向だ。

 大手銀行だけに適用されることに対しては、全国銀行協会が猛反発し、「極めて唐突。特定業種のみに導入することは税負担の公平性を著しく欠いている。絶対反対だ」などと怒り、「最終的な手段として訴訟もあり得る」としている。
 この全国銀行協会の反応などに関して石原知事は、この案を発表した段階で、「極めて唐突だと言うが、企(き)をはかるには密をもってする」とし、「大手銀行は本業で十分に儲けておりながらも不良債権処理によって納税を免れている。10兆円を超える多額の公的資金も投入されて、金融システム安定化の恩恵に浴している銀行業こそ、率先して行政サービスの対価を払うべきだし、銀行の利益が政治献金などでがっぽり持っていかれる前に、課税しようとの狙いもある」「新たな税制を発信していくことは、停滞する国政を変える引き金として、大きな意義がある」などと述べ、真っ向勝負の姿勢を表明していた。

 政府は、金融経済の低迷に拍車をかけるので見合わせる方が懸命、としていたが、対象となる銀行の現実は、預金金利を低く抑えて貸出金利を3%前後に設定していることもあり、空前の差額による利益が発生、バブル期の粗利(約6兆5000億円超)よりもさらに多い粗利(約8兆6000億円超)があり、バブル期以上の約2兆円超の利益が上がっている。このことから、政府の見解はあたらない、というのがおおかたの見方だ。

 年間約7000億円を上回る財源不足を埋める手段のひとつは「迷案」ならず「名案」になったようで、政府税制調査会や全国知事会などで全国一律の外形課税の導入論議が高まり、ほかの自治体が課税自主権の行使に関心を持ちはじめた。
 石原知事のこの策は、何事においても停滞ムードが先行する今の政治の世界に、久々に意義ある一石を投じ、いい風を起こしているということだけは確かなようだ。

 また石原知事は、3月15日の都議会予算特別委員会で、税制全般について自治体側から国に提言するため、都独自の税制調査会を設置する考えも明らかにしている。
 都と都議会、民間識者で独自の税調を作り、東京という地方から、国に対する税制改正要望のあり方を変えていこうというもので、発足時期など具体的な詰めはこれからだが、これらの動向も注目される。

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■臨界事故を起こした茨城県東海村のウラン加工施設JCO東海事業所の事業許可取消処分が3月13日、最終的に決まった。
 原子炉等規制法に基づくものとしては、過去に旧動力炉・核燃料開発事業団のもんじゅ事故などで1年以内の操業停止の例があるが、事業許可取消は、最も重い処分で、 日本の原子力開発史上初めての例になった。

 臨界事故以来、JCOでは自主的に操業を全面停止しているが、業務上過失致死傷と炉規法違反などの容疑で、刑事責任が問われる企業にもかかわらず、現実には、1月5日に木谷宏治社長が操業再開の意向を表明するなど、地元をはじめ国民の反発を受けていた。
 今回の事業許可取消は、原子炉等規制法に基づくものだが、それにとどまらず、安全管理や安全意識の欠如など、基本的には企業の社会的責任が背景にあることは否めない。

 ちなみにJCOの生産ラインがなくなると、国内でウランを再転換するのはJCOと三菱原子燃料の2社だけのため、国内の核燃料製造能力は大幅に低下する。核燃料製造メーカーなどは、コスト安の海外企業への依存度を高めてめており、JCOからの供給がなくても当面は燃料が不足する事態にはならない、と見ているが、長期的には原子力業界全体としてのダメージは避けられない模様だ。

 法律上は処分後2年で再申請が可能だが、科学技術庁では「現時点で再開、再申請の議論をするのはまったく不適切」としている。

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■科学技術庁は1月31日、茨城県東海村のJCOの臨界事故で被ばくした現場周辺の住民らの被ばく状況をまとめ、原子力安全委員会に報告した。
 事故直後に実測できた143人以外は、昨年11月に実施した行動調査をもとにして線量を推定。被ばく者数は439人にのぼった。
 内訳は、大内さんら作業をしていて大量に被ばくした3人を含め、事故時に事業所内にいた人が148人、臨界を終息させるための作業に伴なう被ばくが24人、土のう積みなどの作業が57人、消防署員3人、周辺住民207人。
 住民の最大被ばく線量は21ミリシーベルト(放射線業務従事者の年間線量限度が50ミリシーベルト)で、科技庁では「この線量だと急性の健康被害はなく、将来被ばくによる癌の可能性も極めて小さい」としている。しかし、207人の住民に対しては、希望者の健康診断を年1回実施し、健康不安に対応するとしている。

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■東北電力の原発建設計画の是非をめぐり、1996年8月に全国初の住民投票が実施された新潟県巻町で1月16日、 町長選の投票が行なわれ、「原発計画の白紙撤回」を掲げた無所属の現職、笹口孝明氏が、原発推進派の推す無所属の元巻町農政課長、田辺新氏を接戦の末に破って再選を果たした。笹口氏の得票は1万102票、田辺氏は9835票だった。投票率は、推進派が候補擁立を見送った前回(45.81%)を大幅に上回る85.25%。

 笹口氏は、「巻原発・住民投票を実行する会」の元代表で、「反対が6割を占めた住民投票の結果を確実にし、原発問題に最終決着をつける」と訴え、巻原発建設を国の計画から外すことを公約に掲げた。一方、田辺氏は「原発問題は住民投票で決着済み。原発より町の活性化が重要だ」と強調。「当選しても原発建設を推進しない」と明言し、保守層を軸に追い上げたが、推進派イメージをぬぐうことができなかった。

 笹口氏は再選後の会見で「東北電力が撤退するまで原発問題は終わらない」と言明し、東北電力の巻原発建設本部に計画の白紙撤回を申し入れる方針を示した。

 一方、東北電力は巻原発(沸騰水型、出力82万5000キロワット)の建設計画について、「一定期間の計画繰り延べはやむを得ない」とし、2002年度着工、2008年度運転開始の現計画を、巻町長の任期をにらんでさらに4年の繰り延べを決定した。今回で繰り延べは19回目となる。

巻原発計画
 1981(昭和56)年12月着工、1986(昭和61)年3月運転開始の方針が1978(昭和53)年に示され、国の電源開発基本計画に組み入れられた。しかし、地元の反対運動で計画が頓挫。1996(平成8)年8月には全国で初めて原発の是非を問う住民投票が行なわれ、反対票が過半数に達した。

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■福島県の佐藤栄佐久知事は、福井県高浜原発でのプルサーマル用MOX燃料のねつ造問題発覚を受けて12月16日、東京電力が導入を計画している福島第一原発3号機でのプルサーマルで使われるMOX燃料について、「検査体制に不備があるのではないか」と通産省に抗議し、再検査を要請。同省から「再調査してデータを徹底的に確認するまでMOX燃料は装荷させない」との回答を引き出したことから、2000年2月開始予定だった福島第一原発でのプルサーマルについて、正式表明ではないが「実質的な延期になる可能性は高い」とした。
 一方、福島県議会の12月定例会は、プルサーマルの延期を求める請願を賛成少数で不採択とし、17日に閉会した。

 東電分のMOX燃料はベルゴニュークリア社(ベルギー)が製造、今回ねつ造が発覚したイギリス核燃料会社製造の関電分と共に海上輸送され、1999年9月末に日本に到着した。福島第一原発では、国によるMOX燃料32体の検査が行なわれており、1月中旬の原子炉への装荷、2月7日のプルサーマル発電開始を予定していたが、東電は「プルサーマルの今後のスケジュールについては、現時点では言えない」と当面見送りの方針を示している。

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■成田空港の暫定平行滑走路建設の起工式が12月3日に行なわれた。暫定滑走路は、地元との対話を約束していながら反対派との交渉がなかなか進まないことから、当初計画の2500メートル滑走路を2180メートルに短縮して、反対派の土地を避けて空港公団が取得した土地だけを使って造ることとした。
 交渉を中断したままで着工した理由を政府は「2006年のサッカーW杯に向けて、その受け入れ態勢をとるため」としているが、滑走路が短いため、ジャンボ機は運航できず近距離国際線や国内線での中型機中心の利用に限られるなど、この暫定滑走路では受け入れ態勢は不十分との指摘もある。

 この「とりあえず」の着工となった今回の工事費は、燃料の備蓄タンクなどの付帯設備を含め約600億円。2001年11月完成予定で、2002年5月に供用が開始される。
 運輸省の見通しでは、完成後の発着枠は、現在の13万5000回から約20万回に増え、利用客もこれまでより1000万人増えるとしている(昨年度の利用客数は約2400万人程度)。

 最終的には当初計画の2500メートル滑走路建設に向けて反対派や地権者との話し合いが実施される模様だが、反対派は、今回の暫定滑走路建設も含め、「公団が取得した土地なので工事は勝手だ、という事だろうが、そうした考えや姿勢そのものが納得できない」として、態度を硬化させている。

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■ユネスコの世界遺産委員会は12月2日、栃木県日光市にある東照宮など「日光の社寺」を、世界文化遺産に登録すること決めた。
 登録されるのは、徳川家康の墓所として江戸時代初期に創建された「日光東照宮」や日光における山岳信仰の中心として崇拝された「二荒山神社」、日光山の中心寺院の「輪王寺」で、東照宮の陽明門など国宝9件、重要文化財94件が含まれている。遺産保護のための緩衝地帯を含めると広さは計424 ヘクタールにおよぶ。

 国内の世界文化遺産としては、古都奈良の法隆寺地域の仏教建造物、岐阜県白川郷・富山県五箇山の合掌造り集落、広島の原爆ドーム、白鷺城とも呼ばれる兵庫県の姫路城などに続いて8件目(自然遺産も含めると10件目)となる。

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■東京電力は、柏崎刈羽原発でのプルサーマル計画の実施を1年延期することを決め、正式に新潟県および柏崎市・刈羽村に伝えた。

 新潟県と地元柏崎市・刈羽村は「東海村での想定外の臨界事故が原発周辺住民の不安を大きくしており、現状では、予定通り受け入れるのは難しい」「住民の安全を守る立場にある地元の意向を尊重したい」との認識で11月8日、柏崎市・刈羽村の東京電力柏崎刈羽原発3号機でのプルサーマル計画の実施を1年延期し、2001年からとするよう東電と国に申し入れていた。プルサーマル計画は福井、福島、新潟の3県で導入が予定されているが、受け入れを表明している県が延期を要請したのは初めてだった。
 これに関して通産省資源エネルギー庁は「事故の影響という点では残念だが、延期期間は予定の範囲内で、新潟県など自治体側が政策を変更したとは考えていない。 事故以来、立法措置も含めて信頼回復に努力してきた。自治体側には引き続き説明を続け、理解を求めたい。プルサーマル計画の安全性と東海村の事故は直接、関係がないと考える」としていた。

 しかし、地元の要望を受けて実施主体の東電は1999年11月18日、新潟県および柏崎市、刈羽村に「地元の意向を尊重して1年先送りし、2001年から開始することにしたい」と正式に伝えた。

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■川崎市の大気汚染による公害病認定患者と遺族が国と首都高速道路公団(企業間とは和解が成立)を相手取り、損害賠償と大気汚染物質の排出差し止めを求めた川崎公害訴訟は1999年5月13日、東京高裁での控訴審で和解合意。和解期日の5月20日に正式に和解が成立した。
 和解は、原告が賠償請求を放棄する代わりに国側は公害防止に向けて一層の道路環境対策に取り組むなどの内容。

 和解条項で国側は「環境基準の達成に真摯に取り組む」「今年1月に公表した川崎市南部地域の道路整備方針に従い、諸事業に取り組む」「川崎市南部地区沿道環境に関する連絡会を設置する」などを約束した。工場排煙による健康被害も問題になっていたが、96年に原告と14企業・団体との間で総額31億円で和解が成立している。

 千葉・川鉄、岡山・倉敷、大阪・西淀川と合わせて4大大気汚染公害訴訟のひとつに数えられた川崎公害訴訟は、1982年の1次提訴から17年ぶりに全面決着した。
 道路公害をめぐる国家賠償請求訴訟の和解は、98年7月の大阪・西淀川訴訟に次いで2件目。

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