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■大自然の摂理、人間生活による汚染が深刻だった琵琶湖が渇水を転機に再生へ。

 生活排水など人間生活による汚染が深刻だった琵琶湖が、1994年の少雨と猛暑の大渇水を機に水草の群落が生まれ、水質が浄化されていることが2005年3月までの滋賀県立琵琶湖研究所の調査研究で分かった。

 これまで琵琶湖は、リンや窒素などの汚濁原因物質の影響で水質が汚濁し、水面下にある水草は光合成もできず、致命的だった。しかし大渇水で水位が下がった結果、クロモなどが光合成を続け、多くの種子が生産された。そして、500ヘクタール以下だった水草群落は3000ヘクタール以上に増え、現在、南湖全体の50%以上に群落が形成されるようになった。

 長年の浄化運動も効を奏し、琵琶湖のリンや窒素など汚濁原因物質も減ったことから透明度も戦前のレベルにまで戻りつつあり、琵琶湖は大渇水を機に生き返ったようだ。

 水質の汚濁がいったん浄化に転ずると相乗効果で浄化が進むと言われるが、この「生態系の相転移」が、琵琶湖で今、実際に起っているというわけだ。

 93年にラムサール条約の登録湿地に指定され、湖辺も含めた環境・生態系の保護が課題になっている琵琶湖は、これを機に大自然の摂理に沿って、さらなる再生の歴史を築き上げていくことになった。

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