◆列島縦断ニュースハイライト◆
【中国・四国・九州発】


■台風被害の対応で中国電力の脆弱性が露呈、危機管理能力の欠如で停電の改修・復旧に76時間超え。

 2004年9月7日の台風18号の接近に伴う強風などのため、山口県を中心に広島、鳥取、島根、岡山、香川、兵庫、愛媛の8県で計125万8674戸が一時停電したが、中国電力の対応のまずさなども加わり76時間を超える停電が広範囲に続き、市民生活は大きな損害をうけた。

 同社が特別災害対策総本部を設置したのは台風前ではなく台風通過後の停電戸数が増えた午後5時で、遅い対応がその後の復旧遅れにもつながるなど、同社の危機管理能力の欠如が鮮明になった形だ。

 豪雪地帯の北海道電力や東北電力、大都市を抱える東京電力や関西電力、台風銀座に位置する四国電力や九州電力の対応に比べれば、脆弱性は顕著で、貴重なライフラインを担う企業の社会的責任という基本的な認識に欠ける中国電力の災害対策および復旧態勢が批判されるものとなった。

 山口県、広島県、岡山県などは、台風とは無縁ではないが、1991年9月の台風19号による被害を除けば比較的被害も少ない地理環境で、今回の中国電力の鈍い動きは、平穏な環境という温床に漬かり過ぎてきた体質を浮き彫りにした格好でもある。

 台風による長時間の停電について同社は、風に飛ばされたものが電線に当たり、断線したことなどが原因と見ているが、今後の対策や回復までにかなりの時間を要する復旧態勢の見直しについては、無策を続ける姿勢を示している。

 大都市並みに数本の複線を全域に張り巡らす必要はないにせよ、ただ謝罪して済ませたり、すべてを台風のせいにして自らの企業姿勢を正当化するのではなく、住民生活に迷惑を及ぼし続けた責任を痛感し、緊張感をもって災害における対応策を予め講じ、俊敏に実践していく基本姿勢が強く求められることとなった。

 仮定の話はふさわしくないが、今回の災害対応の鈍さという現状では、中国電力が抱える島根原発で万が一にも重大な事故が発生すれば、推して知るべしの状況でお手上げ状態に陥ることは必至、ということが裏付けられた、とも言えそうだ。

 中国電力は、発電所を抱える地元自治体に、これまで分かっただけでも50億円近くにのぼる多額の寄付を匿名で続けており、こうした、カネをつかませることでトラブルを回避しようとする姿勢そのものが、体質としての脆弱性や企業として小賢しさを象徴するものだと指摘され続けているが、今回の対応を見れば一目瞭然で、今後もしばらくは改まることがなさそうだ。停電は9月10日の時点でも全面復旧には至らず、広島県では廿日市市の一部など約270戸、山口県では周南市の一部、防府市の一部など約2万4000戸で停電状態が続いた。

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【中国・四国・九州発】


■全国初、山口県美祢市に民間資金活用の新刑務所建設。

 野沢法相は1月27日の閣僚懇談会で、民間資金活用方式の初犯刑務所の建設地を山口県美祢市の「美祢テクノパーク」に決定したことを報告した。
 民間資金活用方式はPFI(プライベート・ファイナンス・イニシアチブ)方式と称され、刑務所業務に民間が参入する。
 公権力を直接行使する部門でPFI事業を実施するのは警察を含め初めてで、2007年度からの収容開始を目指す。主な部分は法務省が運営するが、受刑者の炊事や洗濯、医療、教育、職業訓練、物品の保管、警備などの業務をPFIの対象とし、地元の雇用を積極的に進め、経済効果も生み出したいとしている。

 国が刑務所を新設するのは約20年ぶりで、新刑務所は、初犯の受刑者1000人(男女収容で500人ずつ)を収容する。

 全国に刑務所は支所を除いて59カ所あるが、2001年末頃から定員オーバー状態が続いていた。このため法務省は2003年7月に刑務所の新設構想を発表し、誘致に名乗り出た約50カ所の自治体の中から選定作業を進めていた。

 白羽の矢が当たった山口県美祢市は、かつては炭坑の町だった。その後、過疎化が進み、バブル末期には総事業費65億円を投じて大規模工業団地を造成。しかし、待てども申し込みはナシ。さらに近年の不況で企業誘致そのものが成立しなくなったため、「この地に刑務所を誘致しよう」と、全国初の刑務所誘致に動いた。
 以来、全国各地で「わが町にも刑務所を」の誘致合戦が繰り広げられたが、他の追随を許さず、美祢市がその権利を得た。

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【中国・四国・九州発】


■SL「貴婦人」やまぐち号、復活25周年の今年は129日間運行。

 旧国鉄職員などの努力で1979年に復活した山口県でのSL(蒸気機関車)の運行。その後、国鉄は分割され、運輸という仕事に命をかけた国鉄魂も消え、その面影を残す蒸気機関車は、今やレトロの定番となった。
 人気も安定し、「貴婦人」の愛称を持つC57型の蒸気機関車は山口線では、無くてはならないものになった。

 その山口線(新山口〜津和野両駅間)を走るSL「やまぐち号」の2004年の運行計画をJR西日本が1月20日、発表した。

 復活25周年の2004年は、春分の日(3月20日)から運行開始し、2004年1月16日までの間に129日間、「貴婦人」C57型「やまぐち号」が山口線を1日1往復、走る。
 発着時刻は新山口駅を10時31分に発車し、12時28分に津和野駅到着する。そして、15時10分に津和野駅を発車し、16時47分に新山口駅に到着する。
 運行本数は3、4月各12本、5月13本、6月8本、7月17本、8月27本、9月10本、10月11
本、11月14本、1月には「雪見列車」5本を運行する。8月には復活25周年記念行事もある。

 「シュッシュポッポ」の単調だが力強い息吹が、今年もローカル線を活気づける。

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