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【沖縄発】


那覇市、銃砲弾約400発を住宅ビルに10年間放置。

 那覇市の市街地にある16階建ての市営ビルに、沖縄戦当時のものとみられる火薬入りの銃砲弾など計416発が放置されていたのが発見され、陸上自衛隊が回収していたことが5月22日に分かった。
 同ビルは約156世帯が入居する市営住宅のほか、コンピューター関連会社やレストランなどがあるが、入居者への事前連絡も非難誘導もなく回収されたという。

 市職員が、市歴史資料室で放置を見つけ、5月19日夜に那覇署に通報、通報を受けた那覇署は、火薬が残っている可能性が高いと判断し、陸上自衛隊に回収を要請した。それを受けて陸上自衛隊が5月20日午後に回収し、読谷村内の県の施設へ移送した。

 銃砲弾は市歴史資料室内にほかの資料とともに新聞紙にくるまれ、段ボール箱に入れて保管されていたが、腐食が激しい状態だったという。
 発見されたのは、小銃弾356発、手りゅう弾16発、50ミリてき弾26発、81ミリ迫撃砲弾1発などで第二次世界大戦で使われた旧日本軍のものとアメリカ軍のものが混在していた。

 もともとは、約10年前に那覇新都心地区の工事中に見つかったもので、一時は保管施設で管理していたものを資料室に移したという。
 那覇署は、10年にわたり放置されていた経緯をさらに詳しく調べ、火薬取締法違反も視野に入れて捜査を進める、としている。

 第二次世界大戦で地上戦の惨劇が発生した沖縄では、不発弾の発見が相次いでおり、最近では、発見された不発弾を県職員が県庁内に持ち込んだことから、火薬の入っていた不発弾1発の処理作業のため、400世帯以上と700以上の事業所が避難する騒ぎになったこともある。

 今回は、住民などに対する非難誘導もなかったことから、ずさんな保管方法のみならず、撤去作業そのものの手順などについても責任が追及されるのは必至だ。

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【沖縄発】


本土復帰31年目の沖縄、延べ145キロの平和行進。

 沖縄が本土復帰31年を迎えた2003年5月15日から3日間、米軍基地などを徒歩で巡り、基地の撤去や平和の実現を訴える26回目の平和行進が行なわれた。

 本土復帰から31年が経過しても、一向に改善が見られない沖縄の基地負担や進まない日米地位協定の改定などに思いを馳せながら、沖縄戦で激戦地となった摩文仁の丘、アメリカ軍が実弾射撃演習を繰り返すキャンプ・ハンセン、アメリカ軍普天間飛行場の移設先となる名護市辺野古地区など3つのルートに分かれ、参加者は3日間で延べ145キロを踏破した。

 梅雨入りした雨の中、平和行進に参加した人たちに向けて「アメリカア軍による事件のためにこの島では基本的人権が今も奪われ続けている」「有事法制という戦争法がつくられようとしている。反対の意志を伝え歩き通そう」「基地の整理・縮小、地位協定改定など、県民の抗議で勝ち取るべきだ。議論のないままの有事法制には反対しながら、基本的人権の確立に皆さんと力を合わせていきたい」などの挨拶と激励の言葉が相次いだ。
 平和行進の参加者は5月17日に宜野湾市で集結し、宜野湾市海浜公園での県民大会に合流。基地のない沖縄と反戦平和を訴えた。

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【沖縄発】


宜野湾市でアメリカ軍普天間飛行場の県内移設反対派が新市長に。

 違法献金事件による前市長の逮捕、辞職に伴う出直し宜野湾市長選挙が4月27日に投開票され、革新系無所属で普天間飛行場の県内移設に反対する社民、社大、共産、民主推薦の候補が1万7583票を獲得し、保守系無所属で自民、公明、保守新推薦の候補に710票差をつけて初当選した。投票率は55・54%。

 この結果について政府は、名護市辺野古沖への閣議決定があり、名護市移設を前提とする対策協議会がすでに走りだしていることなどから「影響はない」としている。行政手続き上、移設作業を止めることはできないが、「県内移設反対」を唱える新市長の誕生で、今後、移設問題が政治的に立ち往生することは必至となった。 

 当選後、伊波新市長はアメリカ軍普天間飛行場について「米軍が住宅地上空を頻繁に飛び交っていることに対し、飛行制限を求めたい。日米安保が大事なら、なぜこの状況を放置しているのか。米軍による不法行為への法的措置を取っていきたい」「米国政府を相手に、米国の市民運動団体や議員らと連携して、米国内で裁判が起こせないか考えている」とし、返還問題について「名護市移設は最悪の選択。基地負担を軽減するという日米特別行動委員会(SACO)の原点が、知事の巨大海上基地構想によって崩されている。さらに10数年以上も宜野湾に固定しようとする稲嶺知事は、宜野湾市民の生命、安全に対する責任を放棄している」と批判。公約として掲げた「5年以内の返還」に関して「もともとは日米政府が返還は『5年から7年』と決めたこと。市民だけでなく、県民全体の要求として、日米両政府や県に対し、普天間飛行場の爆音被害の実態を市としてデータで示していく」と述べた。
 名護市移設を前提に進んでいる国、県、市で構成する跡地対策協議会への対応については、協議会は前市政の2期目でスタートしており、具体的にどうなっているのか掌握していないとしたうえで「1995年に市民や地主も交えて作られた基本計画と、現在進む計画が違う方向であれば方向性をきちんと示さなくてはならない。協議会の中身を確かめ対応を決め、5年後に跡地利用に取り組めるようにしたい」との意向を示した。

 名護市の岸本市長は、「普天間基地の移設について、私も常々県外移設が最も望ましいと申し上げてきた。県外移設に尽力され、それが実現するのなら素晴らしいこと」と評価したうえで、「私は普天間基地移設を受け入れ表明した市長であり、これまで名護市と県、国で移設への動きを進めてきたので、これを今、突然切り替えることは私はやらない。これまでやってきたことを粛々と進めていかざるを得ない」と、従来の姿勢に変わりがないことを強調した。伊波市長が掲げる「5年以内の県外移設実現」に関しては「現実性について言及は避けたい。だが、それができたら名護市民もみんな喜ぶ。短期間の県外移設が可能となれば、私も考えを変えないといけないと思う。情勢を見極めたい」と述べた。
 稲嶺知事は、「県の進める移設作業に対し大変厳しい感情があった」「感情の問題からいって、平和で基地のない豊かな島というのは県民全体の願いだ。現実路線でいくのか、夢でいくのかということだ」としたうえで「夢、希望、理想、現実のはざまでベストがない以上、ベターな方法(辺野古沖への移設)で進めていきたい」と、引き続き政府と協調し作業を進めていく考えを示した。

 稲嶺知事が普天間飛行場の移設先を名護市辺野古に選定して以降、送り出す側の宜野湾市でその是非が問われたのは今回の選挙が初めてで、最大の争点だった普天間問題で、市民は結果的に国、県の進める「名護市移設」を拒否し、「県内移設反対」の意思を示したことになる。しかし、現実問題として普天間飛行場の県外、国外への移転を検討する動きが見えてこないのに加えて保守系が大勢を占める議会勢力図のなかで、新市長が「県内移設反対」の政治姿勢をどのような形で貫き通せるのか、また、普天間飛行場の跡地利用で国、県から、どこまで協力を得られるのかなどの課題も多く、いばらの市政運営となりそうだ。

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【沖縄発】


フィリピンでの合同演習に向かう在沖アメリカ海兵隊、日米地位協定をたてに民間空港に強行着陸。

 在沖アメリカ海兵隊普天間基地所属の輸送ヘリ6機と給油機1機が4月26日午前、フィリピンで行なわれる合同演習「バリカタン03」に向かう途中、給油を目的に宮古空港に強行着陸した。

 アメリカ軍の使用申請に対して、県は着陸の自粛を求めていた。沖縄県条例では、県空港を使用する場合、運用時間内は空港使用届、時間外の場合は使用許可申請が必要としているが、地位協定第5条は「合衆国の船舶、航空機は入港料、着陸料を課さずに日本国の港、飛行場に出入りできる」と定めていて、これを理由に海兵隊側は「民間空港使用を避ける可能性を模索したが他に方法がなかった」として沖縄県の要請を無視、強行着陸した。

 日米地位協定第5条でアメリカ軍の自由使用が認められている以上、改定以外に歯止めの方法はないのが現実で、沖縄の民間空港は、アメリカ軍による恒常的な作戦行動の展開拠点として位置付けられており、宮古と八重山の民間空港は2000年から、フィリピンでの合同演習「バリカタン」に参加するアメリカ海兵隊ヘリの給油拠点として毎年使用されている。

 この日は在沖アメリカ軍使用に反対する労組員や市民ら約100人がシュプレヒコールで抗議する中、午前7時過ぎから次々に計7機が着陸。給油を受けて午前9時までに全機が飛び立った。この間、民間機1機が着陸したが、特に混乱はなかった。
 平良市では、アメリカ軍機飛来に対する伊志嶺亮市長の抗議声明を掲載した広報誌の号外5000部を発行し、市民に抗議行動への参加を呼び掛けていた。1964年発刊の同市広報誌「ひらら」の号外は初めてで、市は県に対して、アメリカ軍機飛来の中止要請を、那覇防衛施設局に対して、地位協定の見直しを電報で求めていた。

 沖縄県は在沖海兵隊基地司令官に対し、宮古空港および今後の県管理空港の使用自粛を強く要請するほか、根本的な問題解決に向けて日米地位協定の見直しを引き続き、日米両政府に対して粘り強く働き掛けていく方針だ。

 合同演習は4月25日から5月9日まで実施され、沖縄からは海兵隊が参加。既に海兵隊員約450人が那覇軍港から海兵隊の高速輸送船でフィリピンのスービック湾に向けて出発している。帰路については「先島地域の空港を使用したい」としているが、具体的な空港名や使用日時は明らかにしていない。

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【沖縄発】


那覇防衛施設局、抜き打ちで米軍普天間飛行場移設先の名護沖合海域の現地調査開始。

 沖縄県宜野湾市の米軍普天間飛行場の移設先、名護市辺野古沖合の海域で4月8日、那覇防衛施設局が海底地形を音波で測量する現地調査を始めた。2002年7月の代替施設の基本計画合意で工法や位置を正式決定して以降、着工の前提となる現地調査は初めてだが、国による突然の調査着手で、地元住民らは「地元への説明がされていない」「今日までわれわれをだましてきた手口だ」と抜き打ちのやり方に憤慨。調査船が出港した辺野古漁港では、反対派住民らが施設局に調査中止や十分な説明を求めるなど一時、緊迫した。

 現地調査では、船に音波探査装置を搭載し、航行しながら音波を海底に照射、反射波をとらえて地層の厚さや地層構成、地盤の強度を調べる。その後、海象、気象などの各種調査を始め、今夏には63地点でボーリング調査を順次実施する。いずれも2004年3月までに終了する予定。
 この調査結果は環境影響評価(アセスメント)のほか、代替施設の設計や埋め立て工事の基礎資料として利用する。調査費用は約4250万円。

 代替施設は軍民共用空港で、辺野古集落の沖合2・2キロの海域を埋め立て、2500メートル滑走路を建設する。着工時期は未定だが、完成は最短でも2016年ごろとなる。

 建設予定地の辺野古沖を含む沖縄本島北部東海岸は県の自然環境保護審議会が答申した自然環境の保全に関する指針で、「自然環境の厳正な保護を図る区域」(ランク1)に指定されている。国の天然記念物ジュゴンの生息地としても知られ今後、環境保護の実効性が問われることになるが、ジュゴン保護団体は「調査自体がジュゴンの絶滅につながる」「ジュゴンは音に敏感。海域での音波調査はやるべきではない」「調査現場には藻場があり、かく乱されるとえさ場として利用できなくなる。調査の影響を評価せずに実施するのは疑問」と強く批判している。

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