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珠洲原発、建設計画中止へ。

 石川県珠洲市に共同で建設する計画を進めていた関西電力、中部電力、北陸電力は2003年11月27日、珠洲原発計画を断念することを決めた。

 1975年に構想が持ち上がった珠洲原発は、反対派住民の反発などで立地可能性調査が89年に中断したままになっていた。市長選や県議選では原発推進派が勝利し、電力業界も原発推進の旗を大きく掲げていたが、ここ数年の産業構造の変化や景気低迷で、足元の電力需要も停滞、その一方で、電力自由化に伴う新規参入者との競争が加速するなど、長期的にも見通しは厳しい状況を迎えていた。

 電力自由化を乗り切るため経費削減が待ったなしとなる中で、時間とコストのかかる原発建設計画が重荷になる電力会社側は「展望のない先延ばしはこれ以上、難しい」と判断、今回の計画中止の選択に至った。

 近年の原発計画の中止では、2000年に中部電力が三重県の芦浜原発の建設計画を白紙撤回したのに続くもので、政府の「要対策重要電源」の指定を受けた原発としては中国電力の豊北原発(山口県)を加えると3件目になる。

 今回のように、電力会社の経営判断で断念するのは初のケースで、これにより原発推進を柱とする国のエネルギー政策は完全に見直しの時期を迎えたといえそうだ。

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燃料製造施設でも発火 三重のごみ固形燃料RDF事故。

 2003年8月に爆発し消防士ら7人が死傷した三重県多度町のゴミ固形燃料(RDF)発電所で使うRDFを製造していた同県上野市の「さくらリサイクルセンター」で、これまでに十数件の発火事故が起きていたことが10月25日、分かった。

 発火は、発電所の爆発事故を受け、伊賀北部消防本部が8月下旬に同センターを立ち入り検査して発覚した。同センターはそれまで発火の事実を消防に連絡しておらず、消防本部は、通報義務を定めた消防法に違反するとして指導した。

 同センターによると、発火事故は稼働直後の昨年12月から今年6月にかけて十数回あり、ほとんどが乾燥機出口付近に滞留したゴミかすが高温で発火したため起こったというもので、RDF自体に発熱の恐れがあるばかりでなく、製造過程でも十分に注意を払う必要があることを裏付けた格好だ。

 環境省が全国調査したところ、RDF製造施設では過去に計26施設32件、発電施設では計3施設3件の事故発生が判明している。

 RDFは、可燃ゴミを細かく砕いて圧縮して作った固形燃料で、水分の多い一般の生活ゴミを原料にする。ガス発生や発熱などの恐れがあるため事故が絶えないという欠点が鮮明になっっている。

 こうした中、企業が分別して排出する古紙や廃プラスチックを原料にする「RPF」のほうに期待が寄せられはじめた。同じゴミ固形燃料だが、RPFの方がRDFよりは安全性が高いとされており、価格が石炭の半分程度でもあることから特に代替燃料としての利用度が高くなるとの見通しから、大手メーカーなどが製造・販売に参入する動きを見せている。

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新型転換原型炉「ふげん」廃炉に向けて原子炉停止、24年の無駄運転やっと終了。廃炉費用は2000億円也。

 福井県敦賀市にある核燃料サイクル開発機構の新型転換原型炉「ふげん」は2003年3月29日午後、廃炉に向けて原子炉を停止した。これで24年にわたる無駄運転がやっと終了したことになる。原子力発電所の廃炉は、茨城県東海村にある日本原子力発電の東海発電所(ガス冷却黒鉛減速炉)に次いで2例目。

 廃炉にかかる費用について、核燃機構は、これまでの運転に伴って出た廃棄物の処理費が140億円、10年間の「廃止措置準備期間中」の施設の維持管理費が500億円、解体工事費が300億円、解体工事に伴って発生する廃棄物の処理費が400億円と説明。これに15〜30年の「解体・撤去期間中」の施設の維持管理費を加えると2000億円に達すると見られている。

 廃炉に伴って出る廃棄物は37万トン。このうち炉心部分から出る放射能レベルが比較的高いものは約200トン、低レベル放射性廃棄物は約4000トンになるが、国の原子力研究・開発機関などから出る廃棄物の処分方法はまだ決まっていないのが現実だ。

 核燃機構は、運転終了後の約10年間を「廃止措置準備期間」として、使用済み燃料の運び出しや原子炉などからの放射性物質の除去などをし、その後、国に原子炉解体届けを出す。それから30年以内に施設の解体・撤去をする計画だが、核燃機構はコスト削減のため約15年間での解体・撤去を目指している。

 新型転換炉は青森県大間町に、原型炉の次の段階の実証炉の建設が計画されたが、巨額な投資に見合う経済効果がないとして95年に中止になっている。

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