◆列島縦断ニュースハイライト◆
【東北発】


■原発を抱える福島県浜通り(通称「浜通りの原発銀座」)の双葉地方町村会(会長・岩本忠夫双葉町長)と相馬地方市町村会(同・荒和英新地町長)の14市町村長が出席して、佐藤栄佐久県知事との意見交換会が2002年5月17日、浪江町で開かれ、原発依存による施策強化策が話し合われた。
 首長らからは、核燃料税増税や電源地域の補助事業振興の要求が相次いだ。特に核燃料税増税をめぐり東京電力との交渉が難航していることについて、知事に対して「交渉を進めるように」と求める声があがり、電源地域の補助事業については、「国と県とのパイプが詰まった状態に見える。常磐、東北中央両自動車道の早期整備など補助事業を促進して欲しい」などの要求がでた。

 これらについて佐藤知事は「東京電力と共存し友好的関係にある原発立地地域にはつらい面もあるだろうが、税収額の推移を見ると、第3期(1987―92年)の280億円に比べ、現在の第5期は140億円と半分になっている。地域振興と県民の安全・安心をどう確保するかという観点から理解をいただきたい」「国との信頼関係を拒否しているわけではない。が、安全性に対する一層の情報公開など、国民全体で考える機運が醸成されるよう、国がもっと真剣に原子力政策に取り組むべきだ」と述べた。

 原発に依存した補助金漬けの行政になってしまうと原発立地首長らは、原発依存体質による施策強化策しか浮かばないようで、助成金や補助金漬け体質からの脱却はなかなか困難な模様だ。
 世界では脱原発の動きが加速し、ドイツ、スウェーデンに続きベルギー政府も2025年までに原発を全廃する方針を決定した。同国は電力の約6割を原発に依存、西欧ではフランスに次ぐ依存度だが「現在稼働している7基は、耐用年数を迎える2015年から2025年までに段階的に閉鎖する一方、新規建造は禁止する」とし、代替エネルギーの開発を急ぐ方針だ。

 一方、国内では、核燃施設がもたらす巨額の公共投資が疑惑を生んだ青森県六ケ所村の村長が自殺するなど、「国策に準ずるムラ」は今もって腐敗の巣窟になっているのが現実だ。

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【東北発】


■電源開発は10月24日、青森県大間町に計画している大間原発の安全審査について、経済産業省原子力安全・保安院に対して一時保留を要請、保安院も了承した。安全審査の保留は極めて異例だ。

 「大間原発」は、フルMOX(プルトニウム・ウラン混合酸化物)燃料だけを使う世界初の軽水炉計画(出力138万3000キロワット)だが、建設予定地の用地買収が難航していることを理由に、電源開発は、2002年3月の着工時期を2003年3月に、2007年7月の運転開始予定を2008年7月に、それぞれ計画より1年延期している。
 現在、約132ヘクタールの用地のうち、炉心部予定地周辺の約1%強が未買収で、買収交渉も暗礁に乗り上げたままで、計画は遅れに遅れている。

 電源開発は「計画凍結ではなく、スケジュール変更もない」としているが、大間原発についてはこのまま保留状態がしばらく続きそうだ。

大間原発の建設計画とカネ
 大間原発の建設計画では、電源開発が、大間町のみならず隣接する佐井村、風間浦村に地域振興への協力金として各20億円を提示して、建設計画の同意を取り付けている。
 また、電気事業連合会の財団「むつ小川原地域・産業振興財団」は、青森県内の地域振興を名目にした助成金30億円を寄付する。これは、同財団が電事連の寄付を財源にして、六ケ所村など電源3法交付金対象の15市町村を除く52市町村の事業に対して助成金交付する「原子燃料サイクル事業推進特別対策事業」(平成6年度に電気事業連合会の寄付25億円を基に設けられた。10年度までの総事業数は164件で事業総額は54億5000万円。1市町村当たり約5000万円助成)が平成10年度で終了したため。青森県が今後の継続を電事連に要求し、電事連がこれに応えるという形で決まった。平成11年度から5年間、核燃サイクル事業を円滑に推進するため寄付名目で青森県内の市町村にカネをばらまく。

 そうした外掘が埋められた後、青森県の木村守男知事は電源開発が進めている大間原発の建設計画に同意することを決めた。同原発の建設計画は、首相の諮問機関である電源開発調整審議会で、国の電源開発基本計画に組み入れられ、事業着手となる。
 
原子炉の全炉心でMOX燃料を使う軽水炉は世界初。

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【東北発】


■さいたま市にある三菱マテリアル総合研究所(旧・大宮市)の敷地内土壌が放射能汚染していた問題が99年に発覚した事件で、「それが表面化する前から、放射能で汚染された土が宮城県鶯沢町内に埋め立てられていた」と指摘され、企業の社会的責任が問われている問題で、三菱マテリアルは、放射能汚染の有無を確認するため、現地調査を実施することを決めた。

 同社の土壌が放射能汚染されていることが表面化したのは99年3月。科学技術庁(当時)が「1996年の社内調査で敷地内が放射能に汚染されていることが分かった」との内部告発を受けて立ち入り調査し、敷地内土壌約2280トンで放射能汚染していることが発覚した。

 しかし、三菱マテリアルは、それ以前の94年から96年にかけて、研究所内の汚染土壌を宮城県鶯沢町の同社小会社の汚泥埋め立て地へ地元自治体にも知らせずに搬入し続けてきた、というもので、住民の間でも「放射能汚染土が混入しているのではないか」と不安が広がっていた。
 この汚泥埋め立て地は、1100年の歴史を持つ「旧細倉鉱山」(87年閉山)から出た重金属を含む汚泥を埋め立ててきた「入釜ダム」で、カドミウム汚染土の問題でも知られるところだ。

 同社では「埋め立てられた土は、放射能管理区域外の土だ」と説明し、「汚染は100%ない」としてきたが、このほど「住民の不安を完全に払拭したい」として、第三者機関(日本分析センター)に委託して、年内にも現地調査を実施することを決めた。

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【東北発】


■福島県の佐藤知事が、県議会2月定例会で、東京電力が福島第一原発3号機で予定しているプルサーマル計画(プルトニウムとウランの混合酸化物MOX燃料を軽水炉で利用する計画)について、計画を受け入れない考えを表明した問題で、資源エネルギー庁の原子力政策課長らが3月2日、福島県庁を訪れて、国のプルサーマル計画推進の方針に従うように要請した。しかし、県側は、エネルギー政策全般に対する県民の不信感が強いことを強調したうえで、プルサーマル計画の推進を、国の責任で見直すように改めて求めた。

 資源エネルギー庁側は「核燃料サイクルを止めるわけにはいかない。国は何をすればいいか、具体的に示してほしい」と迫り、継続的な協議も求めたが、県側は「電源立地県として1年かけて考える。国は国で考えてほしい。1年検討する中で必要があれば協議の機会を設ける」とつっぱねた。

 資源エネルギー庁に示した今回の県側の姿勢を受けて東電は、MOX燃料を炉心に入れることは難しいと判断し、2002年の次回定期検査時をプルサーマルの事実上の実施目標とする方針に変更した。 これと同時に柏崎刈羽原発での実施も先送りされる模様だ。

 東電のプルサーマル計画実施について福島県は1998年11月に事前了解をしたが、99年に茨城県東海村での臨界事故や関西電力高浜原発用MOX燃料データ改ざん問題などが相次いで発生したことから、実施が延期されていた。

 その後、東京電力は2000年11月に、2001年春の定期検査の際に原子炉にMOX燃料を入れるとの見通しを示すと共に、新潟県柏崎刈羽原発3号機でも2001年に実施予定とした。しかし、2月に東電が、新規電源開発計画の凍結方針を発表したことで、福島県知事は、「県民に対し、核燃料サイクルを含むエネルギー政策全般に対する不信感を招いた」と判断し、県議会2月定例会で、当面、計画を受け入れる考えのないことを表明。また、「国、事業者はエネルギー政策全般を抜本的に見直す必要がある」と指摘すると共に、東電が県に正式な申し入れをしないまま進めている福島第一原発7、8号機の増設計画に対しても、「電源立地県として事業者に対する課税の在り方も含め、じっくりと検討したい」とし、現状以上の原発立地に頼らない地域振興を模索する考えも併せて示していた。

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【東北発】


■電源開発は、青森県大間町に計画しているフルMOX(プルトニウム・ウラン混合酸化物)燃料だけを使う「大間原発」(出力138万3000キロワット)について、着工年度を1年先延ばしすることを決めた。
 建設予定地の用地買収が難航していることを理由に、2002年3月の着工時期を2003年3月に、2007年7月の運転開始予定を2008年7月に、それぞれ計画より1年延期する。

 現在、約132ヘクタールの用地のうち、炉心部予定地周辺の約1%強が未買収で、買収交渉も暗礁に乗り上げたまま。

大間原発の建設計画とカネ
 大間原発の建設計画では、電源開発が、大間町のみならず隣接する佐井村、風間浦村に地域振興への協力金として各20億円を提示して、建設計画の同意を取り付けている。
 また、電気事業連合会の財団「むつ小川原地域・産業振興財団」は、青森県内の地域振興を名目にした助成金30億円を寄付する。これは、同財団が電事連の寄付を財源にして、六ケ所村など電源3法交付金対象の15市町村を除く52市町村の事業に対して助成金交付する「原子燃料サイクル事業推進特別対策事業」(平成6年度に電気事業連合会の寄付25億円を基に設けられた。10年度までの総事業数は164件で事業総額は54億5000万円。1市町村当たり約5000万円助成)が平成10年度で終了したため。青森県が今後の継続を電事連に要求し、電事連がこれに応えるという形で決まった。平成11年度から5年間、核燃サイクル事業を円滑に推進するため寄付名目で青森県内の市町村にカネをばらまく。

 そうした外掘が埋められた後、青森県の木村守男知事は電源開発が進めている大間原発の建設計画に同意することを決めた。同原発の建設計画は、首相の諮問機関である電源開発調整審議会で、国の電源開発基本計画に組み入れられ、事業着手となる。
 
原子炉の全炉心でMOX燃料を使う軽水炉は世界初。

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